マエソ

Scientific Name / Saurida macrolepis Tanaka, 1917

マエソの形態写真

50cm SL 以上になる。丸い鱗がざらざらして全体に茶色、断面は四角形に近く細長い。口が大きく非常に腹鋭い。頭部は一見蛇を思わせる。胸鰭は腹鰭先端に届く。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。尾鰭下縁は白い。
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50cm SL 以上になる。丸い鱗がざらざらして全体に茶色、断面は四角形に近く細長い。口が大きく非常に腹鋭い。頭部は一見蛇を思わせる。胸鰭は腹鰭先端に届く。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。尾鰭下縁は白い。50cm SL 以上になる。丸い鱗がざらざらして全体に茶色、断面は四角形に近く細長い。口が大きく非常に腹鋭い。頭部は一見蛇を思わせる。胸鰭は腹鰭先端に届く。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。尾鰭下縁は白い。50cm SL 以上になる。丸い鱗がざらざらして全体に茶色、断面は四角形に近く細長い。口が大きく非常に腹鋭い。頭部は一見蛇を思わせる。胸鰭は腹鰭先端に届く。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。背鰭と尾鰭の間に脂鰭がある。尾鰭下縁は白い。尾鰭下縁は白い。断面は四角形に近く細長い。頭部はまさに蛇(へび/爬虫類)を思わせる。口は見た目以上に大きく、歯は何列にも並び小さいが非常に鋭い。触っただけでケガをすることがある。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正真骨下区円鱗上目ヒメ目エソ亜目エソ科マエソ属

    外国名

    学名

    Saurida macrolepis Tanaka, 1917

    漢字・学名由来

    漢字 真狗母魚、蛇頭魚、真九母魚、真恵曾 Meso
    由来・語源 本種に「真」がついたのはエソの中でももっとも水揚げ量が多いためだ。マエソ属3種の中でもっとも浅い海域にいて古くから漁業対象だったためでもある。
    別種に「トカゲ」、「ワニ」などをつけたのは分類をすすめるうちにマエソ属が数種にわけられることがわかり、区別するためにつけられたもの。
    エソについて
    物類称呼 恵曾。〈えそは蛇の化したるもの也と 又九州にて がまがえるの化したる物也とも〉『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976)
    漢字 狗母魚、狗尾魚、九母魚
    由来・語源 エソ類の総称。「エソ」は田中茂穂をして一般的な名称としている。
    意味は大和朝廷のころ、同朝廷に和しない種族を「ヒナ」と呼び、また「エミシ、エミジ、エソ、エゾ」と呼んでいた。「エミシ」、「エミジ」とは「見るに堪えない、見ると嫌悪感のするもの」という意味。
    「エミジ」と「エソ」は同じ意味なので、「醜悪な感じのする魚」の意味。漢字「狗」も同様に「つまらない、取るに足りない」の意味がある。
    (『新釈魚名考』、大言海、大漢和などを参考にする)
    以上はむりやり意味づけしたものだ、エソはあくまでも一次的魚名だと考えている。
    Tanaka
    田中茂穂(Shigeho Tanaka 明治11-昭和49 1878-1974 高知県)。東京帝国大学にて魚類の分類を始める。日本魚類学の父。170種前後の新種を記載。献名された種も少なくない。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深100メートルより浅い砂地に生息。
    千葉県〜九州南岸の太平洋沿岸、若狭湾〜九州南岸の日本海、東シナ海、瀬戸内海。東シナ海大陸棚。
    インド〜西太平洋。

    生態

    産卵期は春から夏。
    肉食魚。
    雌の方が大きい。
    ←マエソ
    尾ビレの下の縁が白い
    ←ワニエソ
    尾ビレの下の縁が黒い

    基本情報

    温かい海域の浅場で普通である。蒲鉾原料として重要な本種、ワニエソ、トカゲエソの中ではもっとも浅い海域で揚がる。
    主に関西、西日本でかまぼこや竹輪、天ぷら(さつま揚げ)に使われる。底曳き網などで揚がるが、高級すり身原料として重要なものだが鮮魚としてはほとんどお目にかかれない。和歌山県の南蛮焼きなど名物も多々ある。干物になることも多く、知る人ぞ知る美味な魚である。
    奈良県のように鮮魚としても好んで焼き物などで食べていた地域もある。
    珍魚度 まったく珍しい魚ではないが、ほとんど流通しない。意外にがんばって探さないと見つからない。

    水産基本情報

    市場での評価 鮮魚としては安く、ほとんど入荷を見ない。一般に練り製品などの加工用。
    漁法 底引き網
    産地 長崎県、愛媛県、鹿児島県

    選び方

    味わい

    旬は春から初夏。
    鱗は薄くて取りやすい。皮はやや厚めで強い。骨は細く長く無数にある皮は独特の風味がありうま味も強い。
    透明感のある白身でやや水分が多いが熱を通しても強く締まることはない。いいだしが出る。
    卵巣は美味。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    マエソの料理・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き、つけ焼き)、練り物(竹輪、薩摩揚げ、だんご)、汁(みそ汁、潮汁、だんご汁)、煮る(煮つけ)、揚げる(唐揚げ)
    マエソの蒲鉾
    マエソの蒲鉾 水洗いして内臓を取り、皮は取り分けておく。三枚に下ろして身をかき出しすり鉢ですり、酒、水溶き片栗粉、塩、砂糖を加えてよく寐る。竹などにつけて焼き上げる。皮を巻き焼き上げてもいい。

    マエソの煮つけマエソの煮つけ 水洗いして適宜に切り、湯通しして冷水に落とし鱗やぬめりと取る。水分をよく切り、酒、砂糖、しょうゆ、水で煮上げる。骨は細く長いので意外にも食べやすく、身と皮に強いうま味があってとても味がいい。
    マエソの唐揚げマエソの煮つけ 小振りのマエソを水洗いして開く、水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。二度揚げすると鰭も骨も丸ごと食べられてとても味がいい。

    好んで食べる地域・名物料理

    だんご、ハンバーグ エソ類はミンチにしてだんごにしたり、ハンバーグにしていた。60歳代から80歳代の漁師さん。[三重県鳥羽市小浜]
    えそのつけ焼き
    えそのつけ焼き(えその塩焼き)ワニエソと共通 奈良県奈良盆地、大和高原、奈良平野では秋祭りには必ずエソを食べる。このため秋祭りを一名「えそ祭」ともいう。エソの切り身に砂糖としょうゆをつけて焼く。じっくりと焦げないように焼き上げると皮が香ばしくうま味が有り、身はしっとりと豊潤に出来上がって美味。『奈良の食事』(農文協)、『大和の食文化』(富岡典子 奈良新聞社)

    えその塩焼きえそ焼きワニエソと共通 塩焼きにしたり、素焼きにしたりした。ともにしょうがしょうゆなどで食べる。日常的にも食べるもので、エソは数等分切り売られていたという。ただし最近では(2016年12月現在)スーパーにもエソはなく、食べる人もほとんどいないという。この塩焼きはそのまま焼き上げても意外に小骨が気にならず、皮が香ばしく身がしっとりとしていて美味。塩焼きとして最上級の味だ。[奈良県橿原市など。2016年12月07日9時45分、11時20分(大和郡山、橿原宮)]
    えその尾の刺身えその尾の刺身 愛媛県宇和島市など練り製品作りの盛んなところでは、すり身をとるエソ類の尾の部分を刺身にする。この尾の部分だけに小骨がない。うま味がある上に食感があってとても味がいい。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]

    加工品・名産品

    すり身 高級練り製品の原料になる。しばしばマエソと一緒に、またワニエソだけで作られる。


    マエソのすり身作り風景
    「すり身作り」。愛媛県宇和島市は練り製品で有名。特に高級蒲鉾などはマエソ、グチなどで作る。マエソの頭部と内臓を取り、骨を除去してすり身に、これを「焼きちくわ」、「蒲鉾」にする。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]

    エソを原料とした蒲鉾類エソを原料とした蒲鉾類。国内などで広く流通するものとは違い、底曳き網などで揚がった地魚をすり身にして作る。特にマエソ、ワニエソ、トカゲエソなどで作ったものは最上級品である。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]
    えその皮ちくわ 竹にワニエソとマエソの皮を巻きあげて焼いたもの。現在は練り製品を下ろすときに機械を使うので、なかなか皮の利用が難しい。それをわざわざ再現してくれたもの。薄く切り、ポン酢などで食べるのだがほどよい弾力と豊かなうま味で最上級の味である。[薬師神かまぼこ 愛媛県宇和島市]
    えそ皮ちくわえそ皮ちくわ 練り製品などを作るときに出たマエソ類の皮を竹に巻きつけて焼いたもの。冷やして薄く切り、そのうま味と食感を楽しむもの。今や非常に貴重なものだ。[木村蒲鉾店 愛媛県松山市、八水蒲鉾 愛媛県八幡浜市]
    なんば焼き マエソなどを使った焼き抜きかまぼこ。[たな梅 和歌山県田辺市]
    えそのすり身 西日本各地の鮮魚店などで作られているもの。マエソなどをすり身にして、そのまま売られていることが多い。非常に上質で、天ぷら(薩摩揚げ)にしたり、だんごにする。[五後藤魚店/愛媛県川之江]
    ごまだしごまだし 大分県佐伯市などで作られている。マエソ類の身、ごまをすり鉢ですり、みりん、しょうゆなどで味つけしたもの。これをゆでたうどんなどとからめて食べる。
    マエソの煮干しえそ煮干し 高知県、長崎県などで作られているもの。うま味と甘味が強くイヤミのない上品なだしがとれる。素麺やうどんなどに向いている。[河原海産 高知県宿毛市、中野海産 高知県宿毛市]
    マエソの丸干しえその丸干し マエソ類の頭部を落として塩味で干し上げたもの。徳島県、鹿児島県などで作られてる。[江口漁業協同組合 鹿児島県日置市]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    『てんやわんや』の皮竹輪(皮ちくわ) 『てんやわんや』は獅子文六(岩田豊雄)が妻の郷里である愛媛県宇和郡岩松町(現宇和島市津島町)での体験をもとに書いた小説。主人公犬丸順吉が相生町の名士のひとり田辺民平に馳走してもらうのが皮竹輪。「エソの皮や筋で造ったこの皮竹輪は、蒲鉾食いの大通人をして満足させる、日本無比の超特作的逸品である」。

    参考文献・協力

    協力/伊東正英さん、金栄丸(和歌山県和歌山市雑賀崎)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『聞書き 奈良の食事』(農文協)、『大和の食文化』(富岡典子 奈良新聞社)

    地方名・市場名

    タイコノブチ[太鼓の撥]
    場所三重県伊勢白子 参考『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976) 
    シロエソ
    場所和歌山県和歌山市雑賀崎 参考文献 
    オオエソ オホエソ[大えそ]
    場所和歌山県塩屋 サイズ / 時期大型 備考エソ類の総称(『紀州魚譜』) 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    オオヨソ オホヨソ[大よそ]
    場所和歌山県田辺 サイズ / 時期大型 備考エソ類の総称(『紀州魚譜』) 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    タイコノバイ
    場所富山県下新川郡横山村(現入善町) 参考文献 
    ヨソ
    場所富山県東岩瀬・新湊・四方、和歌山県田辺、山口県小野田 参考文献 
    タイコノボ[太鼓の棒] タイコノボオ[太鼓の棒]
    場所富山県生地 参考文献 
    シチベイ
    場所新潟 参考文献 
    イス
    場所新潟県出雲崎、鳥取 参考文献 
    ヘエ モドロ
    場所有明海 参考文献 
    エソギス エンギス
    場所神奈川県三崎 参考文献 
    エソ
    場所神奈川県三崎・小田原、静岡県白浜・土肥、和歌山県和歌浦・三尾・周参見・和深・串本・太地、大阪府堺、兵庫県明石、高知、南日本 備考エソ類の総称(『紀州魚譜』) 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分譲、文献、聞取 
    ドラブチソウ[銅鑼打ち棒]
    場所神奈川県江ノ島 参考文献 
    イソ
    場所関東 参考文献 
    ホラエソ
    場所静岡県沼津市内浦 参考文献 
    オバナ クサエソ ナバナ ハナトゴ
    場所高知 参考文献 
    オバア
    場所高知県土佐 備考「をばあ」とも。〈土佐国の俗この魚をおばあ という 是は蛇の姨(おば)というこころなるべし〉物類称呼 参考『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775 解説/杉本つとむ 八坂書房 1976) 
    チンバエソ
    場所鹿児島 サイズ / 時期幼魚 参考文献 
    キシ
    場所鹿児島県串木野 参考文献 
    ゴンナエ
    場所和歌山県和歌山市雑賀崎 サイズ / 時期幼魚 備考小型のもの。 参考聞取 
    タイコノバチ[太鼓の撥]
    場所新潟県糸魚川市能生、富山県滑川 参考聞取、文献 
    ヨソウオ
    場所富山県氷見・魚津 参考文献 
  • 主食材として「マエソ」を使用したレシピ一覧

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