ホタルイカ

Scientific Name / Watasenia scintillans (Berry.1912)

ホタルイカの形態写真

外套長(胴体の部分)7センチ前後。発光器は外套膜、目の回り、頭部腹面、第4腕先端にある。特に第4腕の先端にある発光器は目立つ。
ホタルイカの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
外套長(胴体の部分)7センチ前後。発光器は外套膜、目の回り、頭部腹面、第4腕先端にある。特に第4腕の先端にある発光器は目立つ。外套長(胴体の部分)7センチ前後。発光器は外套膜、目の回り、頭部腹面、第4腕先端にある。特に第4腕の先端にある発光器は目立つ。外套長(胴体の部分)7センチ前後。発光器は外套膜、目の回り、頭部腹面、第4腕先端にある。特に第4腕の先端にある発光器は目立つ。
    • 魚貝の物知り度

      ★★
      これは常識
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門頭足綱鞘形亜綱十脚形上目ツツイカ目開眼亜目ホタルイカモドキ科ホタルイカモドキ亜科ホタルイカ属

    外国名

    学名

    Watasenia scintillans (Berry.1912)

    漢字・学名由来

    漢字 蛍烏賊 Hotaruika
    由来・語源 1905年(明治38)に動物学者・渡瀬庄三郎博士が富山県を訪れ蛍のように光るイカを見て地元「越中」での地方名をもとに命名。学名も渡瀬博士にちなむ。属名Wataseniaは石川千代松が渡瀬庄三郎に献名。
    イカの語源
    ■ 形が「いか」めしいことから。
    ■ 「怒り」の略語。
    ■ 【い】は発音の音、【か】は甲のこと。
    ■ イカが死んだ振りをして水面に浮かび、カラス(烏)がついばもうとするとき逆にカラスを餌食にするところから。
    ■ 英語でスルメイカなどツツイカ目をsquid。
    ■ 英語でコウイカなど甲(貝)を持つのをcuttlefish。

    地方名・市場名

    リュウグウソウメン[龍宮そうめん]
    場所富山県周辺 部位げそ(足もしくは手ともいう) 

    生息域

    海水生。大陸棚上から斜面域。
    本州以北の瀬戸内海・日本海・太平洋、オホーツク海。
    朝鮮半島南沿岸・東岸、朝鮮半島以北の中国沿岸、ロシア沿海州、カムチャツカ。

    生態

    産卵期は、各地で一年を通して行われる。なかでも富山湾は11月、12月、そして2月から7月。産卵は日暮れから、浅瀬に来て行われる。これ以前に交接を済ませている。
    オスはメスよりやせ形で華奢、交接を済ませると、メスよりも早く死んでしまう。
    2週間ほどで孵化、潮にのってやや北上。外洋の表層、中層に棲息。昼間は水深200 〜600メートル前後にいて、夜になると浅い30〜100メートルあたりに浮き上がってくる。
    1年でまた成熟し、交接、産卵して死んでしまう。
    ホタルイカの発光について
    ホタルイカの仲間はルシフェリンという発光物質とルシフェラーゼという発酵促進物質を持っており、これが混合することで、ルシフェリン -ルシフェラーゼ反応が起こり発酵する。
    発光器は目の回り、第4腕先端、身体の腹側(耳のある方が背、反対側が腹)にある。
    発光はホタルイカを狙う生き物から姿を隠す役割を担っている。これをカウンターシェイディングとよぶ。深い水深にあっても光は僅かながらも届いてくる。これを下から外敵に狙われると危険度が高くなる。それで上部からさしてくる光と同じ明るさで下側に向けて発光する。すると上部からの光の中で影とならずに姿が消せる。

    基本情報

    本州以北にいる小型のツツイカ。相模湾、駿河湾、外房などでもとれるが、まとまって揚がるのは日本海山陰以北。一昔前までは富山湾特産といわれたが、鳥取県、京都府、兵庫県、福井県などでも盛んに水揚げされている。富山県は春に漁の最盛期を迎えるが、西ほど漁期は早く、1月くらいから漁が始まる。
    もともとは産地ならではのものであったが、今では全国的に食べられていて、市場などでは春の風物詩ともなっている。また富山湾などでは漁を見せるなどで観光資源ともなっている。
    一般的には産地でゆでたものが主流、生での流通もある。
    加工品は干もの、塩辛で、こちらは関東などでもお馴染みのものとなっている。

    水産基本情報

    市場での評価 主にゆでたものが入荷してくる。やや高価。生は高価。活けもあるがこれは非常に高価。
    主な産地 兵庫県、富山県、鳥取県、石川県、京都府、新潟県など日本海側。太平洋側でも少ないながら流通もし、食べてもいる。
    鳥取県漁期/底曳き網1〜5月。
    兵庫県漁期/底曳き網1〜5月。
    京都府漁期/底曳き網3〜5月。
    富山県漁期/定置網3〜6月中旬。


    生ホタル 富山県などから生の状態でも入荷してくる。内臓などを完全に取り去らなくてはいけないものの、刺身になる。

    選び方

    ゆでイカは膨らみがあって、表面につやのあるもの。
    生イカは透明感のあるもの。

    味わい

    旬は漁の盛期でもある春
    ゆでるとワタに旨みがあり、身にはほどよい甘みがある。
    ゆでても柔らかい。
    生はワタの部分を除去するか、冷凍して一定時間おいたものを食べる。

    栄養

    危険性など

    旋尾線虫が寄生している可能性があるので、できれば生食はさける。旋尾線虫はアニサキス症に似た症状や爬行症(皮膚科を移動し)をおこす。生で食べる場合、自己責任で。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ホタルイカの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで、煮つけ)、生食(胴、足)、ソテー(アヒージョ)

    ホタルイカの塩ゆで 生よりも塩ゆでにした方がうまいかも知れない。流通ものの生ホタルは高価だが、写真は千葉県で揚がったもの。安かったので買ったもの。やや強めの塩水を沸騰させた中で数分ゆでる。丸く膨らんできたら釜揚げにしてウチワなどで3粗熱を取る。

    ホタルイカの煮つけ 生は流通してきたものはそのままで、関東などで揚がったものは流水などで汚れを落とす。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油を煮立てた中で数分絡めながら煮る。これを1時間程度鍋止めにする。甘辛く柔らかく、内臓のうま味と非常に美味。
    ホタルイカの胴刺身 足を外して胴だけにする。半割にして汚れを塩水の中で流す。水分をよくきる。胴の皮はそのままでいい。イカらしいうま味があるものの、やはり大型のイカには敵わない。軽く湯通しした方がうまいかも。
    ホタルイカのリゾット セロリ、リーキ、にんにく、玉ねぎなどは刻んで置く。イカはそのままでいい。鍋に多めのオリーブオイル、にんにくを入れて火をつけ、香りがでてきたら他の野菜を炒める。ホタルイカを加えて油に馴染ませたら生米を入れて、米の3倍以上(加減をみて)のクールブイヨンを溶かし込んだ水を加える。米の芯がが少し残るくらいに煮る。好みでバターなどを加えてもいい。

    関連コラム(料理法・レシピ)

    記事のサムネイル写真鳥取県産のボイルホタルイカでタリアテッレ
    今季初ホタルイカは鳥取県産だった。 スーパーで買ったのも鳥取県産だったのは、スーパーが近所なのでバイヤーが通う荷受け(国内から水産物を集めてくる大卸)が同じなの・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理

    富山県、福井県、兵庫県、鳥取県
    お菜は、海岸に大量に寄ってきたほてるいかをひろって、里芋や大根と煮つける 伊豆大島・春。『聞き書 東京の食事』

    加工品・名産品

    煮干し ゆでて干したもの。実に濃厚かつ複雑なうまさ。やめられなくなるのがあえて言えば欠陥かも。食べ過ぎ注意。富山県産。[高須商店 東京都中央区築地場内]
    ほたるいか魚醬干し ホタルイカを魚醬に漬けて干したもの。『菱森食品(富山県黒部市)』

    ボウルホタルイカ 鳥取県、兵庫県、福井県、富山県などの日本海側で作られている。水揚げ後、すぐに塩水でゆでて放冷したもので、もっとも一般的なもの。このままなにもつけなくてもとてもおいしい。
    ホタルイカの干もの 神奈川県小田原市に揚がったホタルイカを塩水に漬け込んで干し上げたもの。太平洋側のものはとても貴重。[牧屋]
    ホタルイカの干もの 水揚げされたホタルイカを食塩水につけて干し、扁平につぶして乾きやすく、焼きやすくしたもの。丸のままつぶしていないものもある。素干しもある。素干しの方が食べやすいようだ。[富山県他産地では一般的]
    ホタルイカの沖漬 水揚げ、生きている状態で調味液に漬け込んだもの。産地では比較的よく見かける。やや高価ではあるものの、とても味わい深い。[新潟県産]
    ホタルイカの塩辛 丸ごとのホタルイカを調味液に漬け込んだもの。本来の意味での塩辛ではないものの、逆に言えば食べやすい。[富山県]

    釣り情報

    三浦半島などでは沖釣りのエサにしている。

    歴史・ことわざ・雑学など

    ホタルイカの身投げ 4月から5月の波の静かな日、産卵のために浮上したホタルイカが波打ち際に大量に打ち上げられることがある。これを「ホタルイカの身投げ」と呼ぶ。
    観光 時期には夜、遊覧船が出る。

    参考文献・協力

    『ホタルイカの素顔』(奥谷喬司 東海大学出版局 2000)、『富山のふるさと料理』(粟島文子、佐伯安一 巧玄出版)。『軟体動物学概説 上巻』(波部忠重、奥谷喬司・西脇三郎 サイエンティスト社)、『日本語源大辞典』(小学館)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『世界イカ類図鑑2005』(全国いか加工業協同組合)
  • 主食材として「ホタルイカ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ