ヒレジロマンザイウオ

Scientific Name / Taractichthys steindachneri (Döderlein,1883)

代表的な呼び名エチオピア

ヒレジロマンザイウオの形態写真

体長60cm前後になる。腹鰭は非常に小さく、他の鰭は大きい。尾鰭の後半に透明な部分がある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目シマガツオ科ヒレジロマンザイウオ属

    外国名

    Sickle pomfret
    言語英語 
    Monchong
    場所ハワイ 

    学名

    Taractichthys steindachneri (Döderlein,1883)

    漢字・学名由来

    漢字 鰭白万歳魚
    由来・語源 尾鰭の後端が白いマンザイウオの意味。万歳魚(まんざいうおの意は不明)。
    尾鰭の後縁が白いために「鰭白」がついた。

    地方名・市場名

    エチオピア
    場所高知県 備考高知県ではシマガツオ類を全般に。 
    テツビン[鉄瓶]
    場所関東周辺 備考色が黒いためだろう。 

    生息域

    海水魚。沖合に棲息。
    宮城県〜土佐湾の太平洋側、北海道西部日本海側、津軽海峡、新潟県、[富山湾 2008-2018 年に富山湾で新たに記録した魚類 木村知晴・西馬和沙・不破光大・稲村 修(魚津水族館)]、[京都府舞鶴]、山口県沖、沖縄舟状海盆、九州。〜パラオ海嶺、渤海、台湾南部、フィリピン、マリアナ諸島、オーストラリア南東岸、カリフォルニア州、中央太平洋、西インド洋。

    生態

    基本情報

    マグロ延縄漁などに混じる魚で一般的な認知度は低い。
    味のよさは水産業者の間に知られており、ときに高値で取引されている。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷は希。やや高値。
    漁法 マグロ延縄漁
    産地 沖縄県、神奈川県など

    選び方

    押してみて硬いもの。黒みの強いもの。

    味わい

    旬は秋から春ではないかと思う。
    鱗は硬くて取れない。包丁で好く引きしても皮と鱗との間の骨片を取ることは難しい。皮は薄くもろい。
    骨はあまり硬くはないが腹骨が板状で取りにくい。ほんのりと赤みがかった白身。煮ても硬く締まらない。
    鱗のひき方鱗は横に長く皮膚に埋没して並んでいる。普通の鱗引きではとれないので包丁ですき引きする。
    身質ブリ類を思わせるようなきめの細かい上質な身で少し赤みがかる。血合いは弱い。
    熱を通すとやや硬く締まる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、ソテー(ムニエル、フライパン照焼)、揚げる(フライ、唐揚げ)、焼く(みそ漬け、粕漬け、幽庵焼き、塩焼き)
    ヒレジロマンザイウオの刺身刺身 薄く造り、柑橘類とわさび、しょうゆで食べるというもの。ここにねぎ、ポン酢で食べてもいい。単に刺身にしてもおいしいが、やや淡泊でもの足りぬとおろをポン酢や柑橘類で補う。
    ヒレジロマンザイウオのカルパッチョカルパッチョ 単に刺身にしてもおいしいが、やや淡泊な部分が物なりなく感じるかも知れない。これをにんにく風味とオリーブオイルで補ったもの。ここではまず皿ににんにくをなすりつけ、塩コショウしてオリーブオイルを敷く、ここに薄切りの刺身を並べていく。上には好みの野菜などをのせて再度オリーブオイルをたらす。柑橘類を使ってもいいし、要は自由な発想で作ると楽しいのだ。
    ヒレジロマンザイウオのセビチェセビチェ やや小さめに切った身を塩とライムでマリネする。少し寝かせてベルエシャロット(紫玉ねぎ)、辛みの強い唐辛子と和えたもの。さっぱりしていながら魚本来のうま味の楽しめるもので、テキーラなどスピリッツに合う。
    ヒレジロマンザイウオの煮つけ煮つけ 液体を使った料理には最適である。ここでは腹骨の一番上部の板状の骨が重なり合ったところを煮つけにしてみた。この部分を一度湯通しして鱗などを手で取る。これを酒、砂糖、しょうゆ、水であっさりと煮上げる。おかずはやや甘辛く、酒の肴にはもっと淡い味わいが向く。
    ヒレジロマンザイウオのみそ汁みそ汁 中骨や鰭下の部分を熱湯にくぐらせて冷水に落とす、よく水を切り、昆布だしか水で煮だしていく。うま味が汁に出て煮えたらみそを溶く。にらが青みとしてよく合う。味が淡泊なので潮汁にもみそ汁にでも中華風スープなどにも合う。
    ヒレジロマンザイウオのムニエルムニエル ブリに見た身質で熱を通すとやや締まる。これをバターを使うことで緩和する。切り身に塩コショウして少し寝かせる。これに小麦粉をまぶして多めのオイルとバターを合わせてソテーする。仕上げにもう一度バターを加えたもの。白ワインでデグラッセしてソースに。
    ヒレジロマンザイウオのフライフライ 上質のやや淡泊な味の身で熱を通すとしまる。この締まるところがフライ材料としては残念であるが、上品ななかにうま味と甘味も感じられて捨てがたい味になる。
    ヒレジロマンザイウオの塩焼き塩焼き 腹骨の一番上の部分を塩焼きにしたもの。比較的脂があり、焼いても硬く締まりすぎない。淡泊で少しもの足りなく感じたらオリーブオイルやモルトビネガー、シェリー酒などをかけて食べるといい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    高知県土佐清水市の第18司丸が高知沖120マイルで漁獲したもの。当地では「エチオピア」と呼ばれている。どうも当地ではシマガツオ科の魚全般を「エチオピア」と呼んでいるようで、本科の何種類かの魚が同時にとれるのであるという。

    参考文献・協力

    協力/日野洋平さん(ひの丸 沖縄県石垣市)、第18司丸(高知県土佐清水市)・永野廣さん(高知県高知市)、さかなや 水嶋鮮魚(京都府舞鶴市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)
  • 主食材として「ヒレジロマンザイウオ」を使用したレシピ一覧

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