ソウシカエルアンコウ

Scientific Name / Fowlerichthys scriptissimus (Jordan, 1902)

ソウシカエルアンコウの形態写真

体長40cm、重さ3kg前後になる。胸鰭軟条は分枝して13軟条。
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体長40cm、重さ3kg前後になる。胸鰭軟条は分枝して13軟条。体長40cm、重さ3kg前後になる。胸鰭軟条は分枝して13軟条。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度


      食用として認知されていない
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区正骨下区側棘上目アンコウ目カエルアンコウ亜目カエルアンコウ科ソウシカエルアンコウ属

    外国名

    学名

    Fowlerichthys scriptissimus (Jordan, 1902)

    漢字・学名由来

    漢字 草紙蛙鮟鱇、藻姿蛙鮟鱇 Sousikaeruankou
    由来・語源 「草紙」という言語は田中茂穂がソウシハギに対して使ったのが最初だろう。田中茂穂と関わりのある宇井縫蔵の『紀州魚譜』にソウシハギの漢字があり、本種も同じ意味合いだと思う。草紙(草子)の挿し絵を思わせる模様だからか。
    「藻姿」は海藻にまぎれて見分けがつかないためと榮川省造は考えている。『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)。
    「蛙鮟鱇」は英名「Fishing frog」から来るのではないかと思う。古くは「イザリウオ」。
    Jordan
    David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。

    地方名・市場名

    ソウシイザリウオ
    備考旧名。 

    生息域

    海水魚。沿岸の水深185メートルより浅い岩礁地帯。
    山口県日本海側、伊豆大島、八丈島、駿河湾、熊野灘、和歌山県串本、高知県柏島、沖縄島。
    フィリピン、ニュージーランド、レユニオン島。

    生態

    基本情報

    カエルアンコウの中ではもっとも大型になる。暖かい海域に生息するが生息数が少ないのか、珍しい魚のひとつだ。当然、ほとんど流通しない。

    水産基本情報

    市場での評価 流通上は見ていない。一定の評価はない。
    漁法 刺し網
    産地 静岡県

    選び方

    味わい

    旬は不明。7月の個体は大きな卵巣を抱えていた。寒い時期から春が旬かも。


    味わい 皮は厚みがあり、表面はとげとげして触ると痛い。アンコウ類のように食べることはできない。
    骨はあまり硬くはない。
    ある程度の鮮度でも白濁した白身でやや水分が多く、繊維を感じない。熱を通すと弾力が出て硬く締まる。
    肝は上品な味わいで非常に美味。卵巣も卵粒が小さくてうまい。胃袋は柔らかく弾力があるが適度に噛み切れる。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ソウシカエルアンコウの料理法・調理法・レシピ/煮る(鍋、内臓などの塩ゆで)、揚げる(唐揚げ)、生食(肝、肝和え、昆布締め、刺身)

    ソウシカエルアンコウの鍋 筋肉や胃袋などを鍋にしてみた。適当に切り、湯通しする。冷水に落としてヌメリを流す。これをだし・塩・酒のつゆで煮ながら食べる。筋肉は嫌みがなく柔らかいが、それ自体にはあまり味がない。肝など内臓は美味。

    ソウシカエルアンコウの煮つけ 筋肉、胃袋、肝、鰭の部分などを取り分けて置く。これを沸騰した塩湯にコップいっぱいの水を加えた湯に通し氷水に落として粗熱と表面のヌメリをとる。これを酒・砂糖・醤油・水で煮上げる。筋肉は淡泊でそのものに味はないが肝、胃袋などがうまい。
    ソウシカエルアンコウの唐揚げ 筋肉の部分と鰭際などの軟骨を集めて置く。水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりを二度揚げにする。揚げたてに塩とコショウ(パプリカ、カレー粉などなんでもいい)を振る。表面はさくっと中はみずみずしく柔らかく、なかなかに捨てがたい味わい。
    ソウシカエルアンコウの蒸し肝 肝を取りだし、振り塩をする。表面に出て来た水分を拭き取り、表面に浮き出ている血管などを取る。これを2〜5分ほど蒸す。中は半生に近い状態で、冷凍庫などに入れて粗熱をとり、状態を落ち着かせて食べやすい大きさにきる。アンコウ目の魚らしく、肝の味わいに深みと甘みがある。
    ソウシカエルアンコウの昆布締め 筋肉部分を上身にして、薄く切る。さっと水をくぐらせ、水分を拭き取った昆布の上に並べる。塩気は昆布にあるので不要。約10分程度から食べられる。長時間締めると水分が抜けすぎるので要注意だ。うま味を昆布で補い、食感もよくなる。
    ソウシカエルアンコウの肝和え 筋肉にはくせもない代わりにうま味も少なく、食感がいいわけでもない。本種でいちばんうまい部分は肝だと思う。ゆでて細かく叩いたきもとみそを、筋肉に和える。しょうがの風味を生かせばとても味わい深くなる。
    ソウシカエルアンコウの刺身 筋肉の部分は全体からすると少なく、上身はあまりとれない。血合いが赤く見た目は悪くないが、水分が多く魚としての味わいには欠ける。韓国のようにコチュジャンと酢などで食べるといいかも。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/磯多紀(東京都築地場内)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)
  • 主食材として「ソウシカエルアンコウ」を使用したレシピ一覧

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