ギンザケ

Scientific Name / Oncorhynchus kisutch (Walbaum,1792)

ギンザケの形態写真

体長70センチ前後になる。頭部背面に黒い小さな斑文が散らばる。尾鰭には模様、筋、斑文はない。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区真骨亜区正真骨下区原棘鰭上目サケ亜目サケ科サケ属

    外国名

    Coho salmon
    言語英名 
    Silver salmon

    学名

    Oncorhynchus kisutch (Walbaum,1792)

    漢字・学名由来

    漢字 銀鮭 Ginzake
    由来・語源 体色から。

    地方名・市場名

    チリギン ギン ギンマス
    備考チリから大量に輸入される養殖ギンザケをチリギン。 

    生息域

    淡水→海水→淡水[サーモンタイプ]。
    沿海州(ロシアリモルスキー地方)中部以北の日本海、オホーツク海、ベーリング海、北太平洋の全域。
    日本の河川には希に産卵回遊。

    生態

    産卵期は10月〜3月。
    1年ほど河川にとどまり、海に下る。
    海でイカや小魚などをエサとし2年から3年過ごす。

    基本情報

    日本の漁業水域では水揚げされない。古くは北洋でとれたもの。
    国内で養殖が確立され、これをチリなどに移植。世界中でもっとも大量に養殖されている魚となっている。
    国内養殖ものがあるにも関わらず、毎年大量にチリから輸入している。
    塩ザケなどの加工されて大量に出回っている。
    コンビニなどのお握りの「鮭」としても登場回数が多い。

    水産基本情報

    市場での評価 ほとんどがチリで養殖されたもの。多くは塩ザケとなる。値段は安い。国産のものはフィレ、もしくは丸で出回る。平均してあまり高くない。卵巣である銀子も単独で流通する。
    漁法 流し網(刺し網)、延縄
    主な産地(天然) アメリカ、カナダ、ロシア
    養殖 チリ、国内でも宮城県で生産されている
    銀子
    養殖ギンザケの卵巣。サケ科の卵巣としては安い。これは卵粒が小さいこと、赤みが強すぎるためだと思う。

    選び方

    国産フィレは赤くしっかり硬いもの。くぼんだりしていないもの。

    味わい

    ほぼ総てが養殖ものなので明確な旬はない。国産生の流通は夏。
    鱗は非常に薄く小さい。皮は厚みがあって丈夫。骨は軟らかい。
    典型的なサーモンピンクで脂が均質に混在する。熱を通しても硬く締まらない。
    流通するほぼ総てが養殖ものなので脂がのっている。皮も柔らかく、熱を通しても硬く締まりすぎない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ギンザケの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、マリネ)、揚げる(フライ)、ソテー(ムニエル、ちゃんちゃん焼き)、焼く(幽庵焼き、みそ漬け、塩焼き)、汁(石狩鍋、三平汁)、煮る(みそ煮)、卵巣(しょうゆ漬け)


    ギンザケの刺身ギンザケの刺身 原則的には養殖されたもの。鮮魚で出回る国産のものは刺身にして美味。エサによって出た色合いで、価値が決まりそう。微かにサケ科の匂いを感じるものの甘味と脂のとける感じがあっておいしい。

    ギンザケのフライギンザケのフライ 小売店で買い求めた切り身に塩コショウして、小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせ、小麦粉をまぶしつけて揚げる。さくっとした香ばしさのなかにサケらしい風味が感じられて美味。
    ギンザケのムニエルギンザケのムニエル サケ科の基本的なドな料理法。塩コショウして、小麦粉をまぶしてソテーする。じっくり香ばしくソテーしたい。バターをたっぷり使ったり、マヨネーズ、タルタルソースをつけて食べてもいい。
    ギンザケの幽庵焼き(祐庵焼き)ギンザケの幽庵焼き 市販の切り身にしょうゆ、酒、みりんを同量合わせた漬け地に一晩つけ込んで焼いたもの。サケ独特の臭味がとれて上品な味わいになる。みそ、酒粕で漬け込んでもいい。また単に塩焼きにしても美味しい。
    ギンザケの石狩鍋 みそ仕立て、しょう油仕立て、どちらでもよい。ジャガイモ、玉ネギ、ニンジンなどカレーの具材と同じものがなぜかいい。だしを使ってもいいし、水でもよい。水分を張り、適宜に切った身を沈ませて、火をつける。沸騰したなかに入れてもいいが、その場合はだしを使う、アラなどでだしの出るものを加えるといい。優しい味わいで滋味を感じる。三平汁も美味だ。
    ギンザケの煮つけ 市販の切り身を砂糖としょうゆだけの東京風の煮つけにしたもの。酒・みりん・しょうゆでも、酒・砂糖・しょうゆなど好みの味つけで。適度に煮つめると非常にご飯のすすむおかずになる。
    ギンザケのみそ煮ギンザケのみそ煮 サケ科はしょうゆよりもみそとの相性がいいように感じる。新潟産の麹分の多いみそ、酒、みりんであっさりと煮てみた。サケの匂いがみそで消えて食べやすい。みそによって味わいが変わるのが楽しい。
    銀子のしょうゆ漬け 銀子(卵巣)を買い求め、湯のなかで皮膜を取り去り、バラバラにする。これを何度も洗い生じょうゆもしくはみりんとしょうゆに漬け込んだもの。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    塩ザケ、スモークサーモン
    西京漬け 白味噌、砂糖、酒などと合わせたものに漬け込んだもの。
    塩ギンザケ
    チリで養殖されたギンザケを「塩サケ」に加工したもの。現在、「塩ざけ」として流通している多くが本種で作られている。流通量では国産のサケと競い合っているかのごとくに思える。脂がのっていて当たり外れがないなど人気が高い。
    西京漬け
    塩分濃度の低い白みそい漬け込んだもので食べやすい。[マルキ遠藤商店 宮城県牡鹿郡女川町]
    越後漬
    みそ漬けでやや甘口。脂ののった腹部などを丁寧に処理しているなど名品だと思う。[ウオロク 城北センター 新潟県新発田市]

    釣り情報

    トローリング、ルアー、フライなどの対象魚。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『サケ・マスのすべて 食材魚貝類百科』(井田齊、河野博、茂木正人 平凡社)、『サケの世界市場』(佐野雅昭 成山堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)
  • 主食材として「ギンザケ」を使用したレシピ一覧

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