リュウグウノツカイ

リュウグウノツカイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
5.5m SL 前後になる。口は垂直に閉じて開くと前方に伸びる。体は銀白色で著しく細長くリボン状をしている。形はタチウオに近く後方に向かって体高が低くなる。背鰭・腹鰭などは赤く、背鰭前部の6棘が太く長く伸びる。臀鰭はなく尾鰭は体に比して小さい。[静岡県網代漁港 2022/12/29]
5.5m SL 前後になる。口は垂直に閉じて開くと前方に伸びる。体は著しくほぞ長く側へんする。形はタチウオに近く後方に向かって体高が低くなる。背鰭・腹鰭などは赤く、背鰭前部の6棘が太く長く伸びる。臀鰭はなく尾鰭は体に比して小さい。[神奈川県小田原魚市場 2013/02/03]
5.5m SL 前後になる。口は垂直に閉じて開くと前方に伸びる。体は著しくほぞ長く側へんする。形はタチウオに近く後方に向かって体高が低くなる。背鰭・腹鰭などは赤く、背鰭前部の6棘が太く長く伸びる。臀鰭はなく尾鰭は体に比して小さい。
5.5m SL 前後になる。口は垂直に閉じて開くと前方に伸びる。体は著しくほぞ長く側へんする。形はタチウオに近く後方に向かって体高が低くなる。背鰭・腹鰭などは赤く、背鰭前部の6棘が太く長く伸びる。臀鰭はなく尾鰭は体に比して小さい。
珍魚度・珍しさ★★★★
めったに出合えない
魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度
食用として認知されていない
味の評価度 ★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱綱条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区アカマンボウ上目アカマンボウ目リュウグウノツカイ科リュウグウノツカイ属
外国名
Slender oarfish, Oarfifsh
学名
Regalecus russellii (Cuvier, 1816)
漢字・学名由来

漢字 龍宮遣 Ryuguunotukai
由来・語源 珍しいためだと思われる。
〈異顎亞目アカマンバウ族リユグウノツカヒ科リユグウノツカヒ屬リユグウノツカヒ Regalecus russelii (SHOW) 〔日本海から知られている。〕〉。古くは日本海に多く、太平洋沿岸には少ないと思われていた。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
『水族志』にリュウグウノマモリガタナ(龍宮の守り刀)、マダチヲ、ヒモタチヲ。『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)
台湾 地震の前後に現れる(漂着する)ので、地震魚と呼ばれる。
Rarfish 英名は姿が舟のオールに似ているため。

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沖合の深層。
北海道室蘭〜九州南岸の太平洋沿岸、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海、沖縄本島、西表島。韓国釜山、済州島、海南島、トンキン湾。インド-太平洋域、南アフリカ、地中海。

生態

アミ類などプランクトン食。
プランクトン食 リュウグウノツカイを下ろすとしばしば大量のアミ類が出てくる。

基本情報

リュウグウノツカイ科は世界中に3種。リュウグウノツカイ属は本種と、Regalecus glesne Ascanius, 1772 の2種いる。古くリュウグウノツカイは、一時、Regalecus glesne 1種とされていたが、後に遺伝子などの解析で国内海域のものは別種 Regalecus russellii となる。
本種は太平洋・インド洋に広く分布。深海に生息し、希に浅場でとれたり、打ち上がったりする。日本各地で揚がり、珍魚中の珍魚といった報道がなされるが、相模湾で見る限り、それほど珍しい魚ではない。とれる個体が少ないのは水揚げなどのときに体がもろいので破損する。もしくは持ち帰らないなど忌避の対象であるためだろう。
実際に神奈川県小田原小田原魚市場に水揚げする定置網漁師さんの中には、持ち帰らず、ていねいに逃がすという人がいる。人魚伝説の正体とも考えられている。一般的な食用魚ではない。
珍魚度 珍魚ではあるが珍魚度を4★でもぎりぎり3★を超えているといったところ。発見例も多く、珍魚としては平凡。

水産基本情報

市場での評価 非常に希に入荷する。魚店、料理店などに飾る物で食用としての販売はしない。
漁法 定置網
産地 神奈川県、静岡県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。

味わい

旬は不明。
鱗は非常に取れやすい。皮は薄くて脆弱。骨は柔らかい。
水分の多い白身で指でつぶれ、食感は寒天を思わせる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

リュウグウノツカイの料理・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ)、汁(潮汁)、生食(刺身、焼霜造り)、焼く(干もの、塩焼き)
リュウグウノツカイの唐揚げ 水分が多い魚は唐揚げにして美味である。本種などその最たるものだ。水洗いして適当にきる。水分をよくきり、片栗粉をまぶして二度揚げにする。表面はさくっと香ばしく、中は柔らかくところどころ液体状になってうま味がある。とてもうまい。

リュウグウノツカイの煮つけ 本種の体はほぼ水分で出来ている。焼くと限りなく水分が出て、見た目もけっしていいものではない。水分の多い魚は水分を使った料理がいい。
水洗いして適当に切る。湯通しして冷水に落として表面のぬめりを流す。このとき身が潰れやすいので要注意。鍋に酒・砂糖・醤油・水を煮立てた中で煮る。身は柔らかく泡雪のようでもある。嫌みがなく味はいい。
リュウグウノツカイの潮汁 非常に水分が多く、全体がもろい。これを適当に切り、湯通しして冷水に落とす。水分をよくきり、昆布だしで煮だして酒・塩で味つけしたもの。単に水で煮だしてもいい。意外にもいいだしが出て、身は柔らかくとろりと口の中でとけて美味。
リュウグウノツカイのムニエル 水洗いして適当な大きさに切る。水分をよくきり、塩コショウして小麦粉をまぶして香ばしくソテーする。くせのない白身で皮周辺にうま味がある。骨も柔らかく食べると独特の食感がある。捨てがたい味である。
リュウグウノツカイの焼霜造り 水洗いして三枚に下ろす。中骨と身の境がわからないので意外に三枚下ろしは難しいが、骨が残っていても柔らかいので食べられる。皮目をあぶり氷水に落として粗熱をとり、水分を紙などに包みとって刺身状にきる。身は寒天状でイヤミのない味わい。皮はほんの少し香ばしい。
リュウグウノツカイの刺身 水洗いして三枚に下ろす。皮はできるだけ引いてみたが取り切れなかった。身のほとんどが水分であり寒天状で舌でつぶせる。今回は誤って中骨をつけたまま刺身してしまった。意外にも中骨はこりこりして味があった。身はイヤミ、臭味はなく微かに魚らしい風味がある。まずくはない。
リュウグウノツカイの干もの 尾に近い部分は細く左右に薄い。これをなにもしないで干し上げる。やや強めに干して焼き上げたもの。皮目に独特の香りがあり、捨てがたい味わい。
リュウグウノツカイの塩焼き 切り身にして振り塩をして1時間ほど置く。表面の水分を拭き取り、やや強火で焼き上げる。身は水分が多いので縮むが硬くなることはない。イヤミのない味わいであるが味も食べ出もない。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

リュウグウノツカイを忌避 神奈川県小田原市の早川から真鶴町にかけての漁師さんは、定置などに入ってもできるだけ触らないようにして逃がす(捨てる)。絶対に水揚げをしてはいけないという。1980年代初め、沖で釣りをしていたとき、関東大震災を見たという老漁師から、「震災の前に見た」、「もしも海で見つけると避ける」という話を聞く。また台湾では「地震魚」で同じ意味である。
人魚の正体 魚類学者の内田恵太郎は、〈体は非常に長く、大きいものでは10メートルにも及び、全身は銀白色に光ったリボン状で、頭は普通の魚と違ってとがらず、人の顔のような感じがしないでもない。頭の頂上からうしろに5、6本の非常に長い鰭の条(すじ)が髪の毛のように延びているが、これが燃えるように赤く、その後方につづく背鰭も赤い。……私は、この魚が古来伝えられてきた日本の人魚の正体だと考えている。〉『さかな-日常生活と魚類-』(内田恵太郎 朝日新聞社 1966)