メジナ

メジナの生物写真

体長40cmを超える。背鰭から吻にかけてなだらかな曲線を描く。鰓蓋下の部分には鱗がない。唇は薄く、歯が突出しない。背は黒いか青みがかった黒、腹は白いものの斑紋はない。鰓蓋の後縁は黒くないか、うっすらと黒い。尾柄部はクロメジナと比べると幅がある。

魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★
まずくはない
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目メジナ科メジナ属
外国名
英名/Greeenfish, Nibbler, Rudderfish,Largescale blackfish
学名
Girella punctata Gray
漢字・由来
漢字 目近魚、眼仁奈、目品。
由来・語源
■ 東京周辺での呼び名。
■ 目が吻(口)に近いことから。
地方名・市場名
クシロ/静岡県沼津市
グレ/三重県津市、和歌山県みなべ町、徳島県徳島県阿南市椿泊『椿泊漁業協同組合』、海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』、山口県下関市
クレ/九州
クロ/九州
クロイオ/島根県
クロダコ/宮崎県日南市宮浦20170511
クロバン/石川県珠洲市
クロヤ/山口県長門市仙崎
タカウオ/高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協
チカイ(チカイダイ)/石川県七尾市
ツカヤ/京都府舞鶴市舞鶴魚市場
ナベワリ(鍋割)/山形県酒田市酒田漁港
ノリクシロ/静岡県沼津市
フナ/広島県広島中央市場
クロヤ、オキクロヤ、クロアイ、クロアヤ、クロワイ、クロエ、クロエイ、クロチン、クロバン、クロベ、クロダイ、ブレ、アオイオ、
■ 「クマダイ」、「シシビ」、「サカズキイボ」、「マギリメ」、「タカイオ」、「タコ」、「ポン」。
■ 山陰北部と北陸ではサケのくる秋水温が下がりはじめてからよく釣れるので「サケノイオノツカエダイ」、「サケノツカエダイ」、「ツカエダイ」、「ツカエ」、「ツカヤ」、「チカイ」。

概要 ▽

生息域

海水魚。浅い岩礁域。
少ないが北海道日本海側〜東北、新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、茨城県〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海。希に琉球列島。朝鮮半島南岸、済州島、台湾、福建省、希に香港。

生態

産卵期は2月から8月。
雑食性。寒期は海藻などを食べる。
稚魚、仔魚、成魚は周年磯回りで見られる。

基本情報

暖かい地域の磯などに普通で、日本海では海が荒れるとまとまって定置網などに入る。
食用魚としては比較的ローカルな存在で、夏など磯臭さがあるので流通しても安いもの。
鮮度がよければ味のいい魚で、各地で刺身、長崎県などでは醤油味で鍋になる。
食用魚としては地味な存在だが、釣魚として非常に人気が高い。
釣り竿などに本種の地方名である「グレ」の名を冠したものすらある。

水産基本情報

市場での評価 冬期など日本海側からときにまとまって入荷してくる。値段は安い。活魚もあるがそれほど高くはならない。
漁法 定置網、釣り
主な産地 石川県など日本海西部

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

見た目では鮮度がわかりづらい。黒くて色あせしていないもの。鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬は冬。秋くらいから脂がのってきて、臭みがなくなり、春まで美味。
温かい時期には磯臭い個体がある。
鱗はやや硬く取りにくい。皮は厚くしっかりしている。引きやすい。
骨はあまり硬くない。
透明感のある白身で血合いが赤く美しい。熱を通してもあまり硬く締まらない。
白子、卵巣は非常に美味。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

料理法 生食(焼き霜造り、刺身、カルパッチョ、セビチェ)、煮つけ、汁(塩味、しょうゆ味、みそ汁)、ソテー(ゴマ油、オリーブオイル、バター)、塩焼き、唐揚げ
メジナの焼き切りメジナの焼き切り 北九州市の肝付さん(釣り師)にいただいた「寒くろ(メジナ)」の皮目を焼き、切りつける。これを徳島県では「焼き切り(やきぎり)」、高知県で「たたき」という。皮下の脂・うま味を楽しむ。
メジナの薄造りメジナの薄造り 活魚をしめると弾力が強いので薄くそぎ造りにして、ねぎ、柑橘類を合わせて食べる。これが実に美味。今回の柑橘類は三重県熊野市特産の「新姫」。小振りで少し甘味がある。
セビチェ ラテンアメリカの料理でメジナの身を細かく切り、青唐辛子と玉ねぎ(紫玉ねぎ)と和える。これにライムと塩で味つけして食べるもの。テキーラなどスピリッツがよく合う。
メジナの刺身中土佐町風メジナの刺身中土佐町風 高知県中土佐町では新子(マルソウダの若魚)を柑橘類をしぼり、しょうゆを加えて食べる。これがメジナにも合う。使った柑橘類は和歌山県新宮市の「さんず」。ハッサクを小振りにしたようで、香りはあまり強くない。
メジナのまーす煮メジナのまーす煮 沖縄の郷土料理「まーす煮」は少量の塩水で魚を煮上げるというもの。クセのある磯魚などにも向いている。脇焼きの豆腐が主役以上に味わい深いことが多々ある。これにコーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)をかけて食べる。
メジナの芝煮メジナの芝煮 比較的薄味でにたものを昆布だしに塩、酒だけで味つけした汁。本来はエビや小魚の料理だが、鮮度のいい上質の白身を薄味で煮たものにこの料理名を使ってもいいのではないかと思う。
メジナの煮つけ煮つけ 寒い時季の脂がのったものは煮ても硬く締まらず、煮汁との馴染みもいい。実に味のいい煮つけ魚となる。
メジナの魚汁メジナの魚汁(みそ汁) 沖縄では魚でみそ汁、そしてそれが主菜ということが普通である。メジナもいいだしが出る上に、煮ても硬くならないので汁にすると実にうまい。しょうゆ仕立て、塩仕立てもいい。
メジナのごま油焼きメジナのごま油焼き 小麦粉をまぶしてごま油でソテーしたもの。表面がごま油の風味もあってとても香ばしく、磯臭さも感じないためにとても食べやすい。
メジナのポワレメジナのポワレ 皮つきの切り身に塩コショウ、少し置き、皮目からじっくりソテーしたもの。皮目は実に香ばしく、身は軟らかいというところによさがある。ソースは白ワインを使った。
メジナの塩焼きメジナの塩焼き 旬の大振りのメジナを切り身にして塩焼きにしたもの。上質の白身で焼いてあまり硬くならずとても味がいい。ただし磯臭い個体は熱を通すと臭味を増大させる。

好んで食べる地域・名物料理

炒り焼き 長崎県。メジナのすき焼きといったもの。メジナを野菜などと一緒にすき焼き風の鍋にする。
黒鯛の塩焼き 大阪府泉南で正月に食べる。これは暮れにまとまってとれたものを樽などに入れて塩漬けにしたもの。

加工品・名産品


ぐれ開き干しぐれ開き干し メジナの成魚を開いて干したもの。微かに磯臭さがあるが、身質がよく美味しい。[浜宮海産 徳島県海部郡由岐町]

釣り情報

■ 手頃な防波堤(波止)から簡単に釣れる。ただ大物は離れ磯や、沖堤防まで出かけないと釣れない。餌は冬はハバノリや海草類、周年を通してオキアミ。浮き釣りが定番。
■ 静岡県ではミカンをエサに釣る。これを「ミカンクシロ」とも言う。

歴史・ことわざなど

■ 海が荒れるととれる魚と言われてる。そして荒天時に入荷が多い。
■ 磯釣りの代表的な対象魚。
■ 伊豆半島、伊豆諸島では「寒クシロ」を刺身で、九州南方面ではみそ煮にする。味噌椀にワケギ、白焼きにして煮つけても美味。
■ 伊豆では「三月クシロ」という言葉があるくらい、この時期のメジナを珍重する。
■ 黒鯛の塩焼き/大阪府泉佐野市では正月の膳に一匹ずつ黒鯛(メジナ)の塩焼きをつける。残りを仕事始めの弁当にも使う。
■ 「古くから魚屋が樽で塩漬けしたグレを12月25日より販売、今でも売る。ただし、泉州でも正月の祝い鯛は様々で、例えば貝塚市では甘鯛、堺市では焼き真鯛を用いる。」[大阪府泉佐野市]
■ 伊長崎県対馬厳原町豆酸の多久頭魂神社の赤米神事で「クロイオ(メジナ)」を神事に使う。

参考文献 ▽

協力/宇戸民宿ドライブイン(宮崎県日南市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、『さかな異名抄』(内田恵太郎 朝日文庫)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『魚と貝の事典』望月賢二 柏書房)、『食の万葉集』(廣野卓 中央公論社)、『新釣百科』(1966 佐藤垢石・松崎明治 大泉書店)、『魚河岸の魚』(高久久 日刊食料新聞社)、『南大阪の伝統食』(小林宏編著 大阪公立大学協同出版会)


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