シロダイ

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体長45cm前後になる。体高があり口はあまり大きくない。体側の鱗には黒い斑がある。頬の部分に鱗がある。主上顎骨(類骨)に鱗に覆われない。下顎の歯は鈍い臼歯状。側線上方横列鱗数(TRac)は背鰭下の小さいものも含めて5枚。[銭州産 33cm SL・1.12kg]
体長45cm前後になる。頬の部分に鱗がある。主上顎骨(類骨)に鱗に覆われない。下顎の歯は鈍い臼歯状。側線上方横列鱗数(TRac)は背鰭下の小さいものも含めて5枚。[小笠原諸島父島産 36cm SL]
口はあまり大きくなく下顎の歯は鈍い臼歯状。
側線から背鰭つけ根までの鱗数は5。
上顎には犬歯があり、下顎の歯は鈍い臼歯状。(下顎)
上顎には犬歯があり、下顎の歯は鈍い臼歯状。(上顎)

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚類綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエフキダイ科ヨコシマクロダイ亜科メイチダイ属
外国名
Japanese large-eye bream, 龍占, 龍尖、龍占舅(澎湖)、白嘉鱲(澎湖) 、真裸頂鯛
学名
Gymnocranius euanus Günther,1879
漢字・学名由来

漢字 白鯛 Shirodai
由来・語源 鯛型で白いため。もしくは身が白いため。赤崎正人の命名だと思われる。
〈スズキ目フエフキダイ科シロダイ Gymnocranius japonicus AKAZAKI(Gymnocranius japonicus Akazaki, 1961)/シノニム〉。『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25)

Günther,
Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。
Akazaki
赤崎正人(あかざき・まさと)。宮崎大学農学部理学科教授。魚類学・増殖学。
地方名・市場名
クソダイ[糞鯛]
備考独特の臭みのある固体が少ないながらいる。そのためか。 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都小笠原 
ギンダイ[銀鯛]
参考荷 場所東京都小笠原 
シルイユー[白魚]
参考文献 場所沖縄本島・八重山 
ッスィユ
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部島 
シルイユ[白魚]
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
シロタマン ッスュ
場所沖縄県宮古 

概要

生息域

海水魚。サンゴ礁、100メートル前後までの浅場。
小笠原諸島、硫黄島、南硫黄島、屋久島、琉球列島、南大東島。
台湾南部、香港、南沙諸島、オーストラリア西岸、西太平洋、カロリン諸島。

生態

基本情報

国内では熱帯・亜熱帯域にいるもので、東京都、鹿児島県、沖縄県など産地では重要な水産物だ。小笠原からの定期便があるので、東京都などでは1980年代からの高級魚として認知されている。東京の魚としてもいいくらいだ。
味のいい魚で、東京では安定的に使える白身として、沖縄では刺身に、まーす煮などに多用される。
珍魚度 珍魚ではないが、地域によっては入手はとても難しい。関東、鹿児島県、沖縄県などで探すと手に入るが、簡単ではない。

水産基本情報

市場での評価 関東には小笠原から入荷してくる。比較的ありふれた魚かも知れない。鹿児島県以南では一般的な食用魚なので、ひんぱんに取引されて、やや高級。
漁法 釣り、定置網、刺し網
産地 沖縄県、東京都、鹿児島県など

選び方・食べ方・その他

選び方

大きいほど味がいい。あまり白っぽくないもの。触って張りのあるもの。目が澄んで、鰓が赤いもの。

味わい

旬は晩春から夏にかけて。
鱗はやや硬く大きく取りやすい。皮は硬く強い。骨はあまり硬くない。
上質の白身で血合いがほとんどなく、雪のように白い。熱を通しても硬く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

シロダイの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、皮霜造り、焼霜造り、カルパッチョ、セビチェ)、ソテー(アクアパッツァ、バター焼き、ポワレ)、蒸す()蒸し魚、揚げる(フライ、フリット、唐揚げ)、汁(みそ汁、潮汁、ちり鍋)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き)
シロダイの刺身 活け締めもしくは活魚がいい。野締めなどは臭味が出るものがある。水洗いして三枚に下ろす。腹骨を取り、背と腹に分ける。皮を引き刺身状に切る。
鮮度がよくてもあまり硬く葉なく、白雪のような中にも透明感がある。初夏の個体は脂がのっていて皮下と身に脂が混在している。
口に入れた途端に甘みが感じられるのは脂がのっているため。下にとろっとするのは脂からのものだ。魚らしいうま味も豊かで非常においしい。
シロダイの焼霜造り(焼き切り) 皮は厚みがあってやや硬い。皮霜造りよりもあぶった方がいい。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を上にして表面をバーナーであぶり氷水に落として水分をよくきる。これを刺身状に切る。皮の香ばしさと皮直下の脂がとけて半分固まった甘さがあってとても味わい深い。
シロダイの皮霜造り 小振りのシロダイを水洗いして三枚に下ろし血合い骨を抜く。皮目にふきんなどをかけて湯をかけて氷水に落としてあら熱を取り、水分をよく切る。これを刺身状に切る。小振りのシロダイは脂も少なく上品ではあるが、やや単調な味わいを皮の味がそれを補う。
シロダイのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引き、出来るだけ薄く引く。皿にオリーブオイル、にんにくをすり下ろしたもの、塩、コショウを入れる。よく混ぜて、薄切りのシロダイを貼り付けていく。スプーンなどでとんとんとたたいて馴染ませて、上からも塩コショウする。パセリやセルバティコなど香りのある青み、トマトなどを散らしてオリーブオイルを新たにかける。
シロダイのアクアパッツァ 煮込み料理ではなくむしろ、ソテーに近い。ソテーしながら水を加え、オリーブオイルと乳化させてアロゼ(パンに溜まった液体を回しかける)する。
シロダイは大型なのでパンなどに合わせた大きさにする。塩コショウして皮目からこんがり、大目のオリーブオイルでソテーする。七部通り火が通ったら、強火のまま水を加え、アサリ、塩漬けトマト、トマト、ディルなどハーブ類を加えて強火で火を通す。加減を見て水を加えながらアロゼする。
皮目はソテーした香ばしさが残るようにする。中はしっとりして溜まった液体を絡めながら食べる。
シロダイのポワレ 皮が弱いのが難点だが、非常に上質の白身で脂もあるのでポワレに向いていると考えた。切り身にして塩コショウする。少し置いて出て来た水分をとり、ニンニク風味をつけた多めの油でじっくり香ばしく皮目からソテーする。香ばしくソテーし終わったら返して、火を強くして皮目に油をかけながら仕上げる。切り身を取り出してシェリーでデグラッセ、ソースにする。
シロダイの韓国焼き魚 韓国ソウル周辺では、魚は焼くのではなく、ソテーすることが多い。ごま油を使ったムニエルと言えばわかりやすいかも。韓国でも単に塩焼きにする地域もある。切り身にして塩コショウして小麦粉をまぶして、ごま油でソテーする。ごま油の香りが好ましく、身はふんわりと柔らかい。コチュジャン酢などで食べるといい。
シロダイの蒸し魚 剁椒魚頭は

シロダイのフライ 小振りのシロダイを水洗いして三枚に下ろして血合い骨を抜き、適宜に切る。塩コショウして、小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけてやや高温で揚げる。フライにしても身は硬く締まらず、中はジューシーで甘味がある。非常にうまい。
シロダイの煮つけ 大振りのシロダイのかまの部分を湯に通して冷水に落として鱗や血液などを取る。水分を丁寧に拭き取り、酒、砂糖、しょうゆを合わせた地で煮上げる。味つけは、酒・塩、酒・みりん・しょうゆなどお好みで。こってり甘辛く煮ても脂がのったものなら硬く締まらずとても味がいい。
シロダイのちり鍋 あらや刺身などに使った切り落としなどを湯通しして、冷水に落として鱗や血液、ぬめりなどを取る。よく水分を切り、昆布だしに酒、塩で味つけした汁で煮ながら食べる。豆腐を入れる白菜、青みなどはお好みで。
シロダイの塩焼き 大形のものが手には入ったら塩焼きにするとよい。表面、皮はこんがりと香り高く、中は軟らかく繊維質で身離れがよい。この練り絹のような身がとても甘い。塩焼きにしてこれほどの美味はめったにないと思う。
シロダイのあらのみそ汁 刺身などで出たあらや頭部を適宜に切る。湯に通して冷水に落として鱗や血液、滑りなどを取る。これを水から煮出してみそを溶く。昆布だしを使うとなお美味、また酒少量を加えてもいい。うま味豊かな汁になる。ご飯にも合う。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

沖縄では船釣りの対象魚。

歴史・ことわざなど