シマアオダイ

シマアオダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
SL60cm前後になる。側へんして体高があり、褐色の横帯があり(地色との差が少なくはっきりしないことも)、体側の中央付近まで伸びる。主上顎骨に鱗がある。背鰭に欠刻がなく、尾鰭は二重湾入。[33cm SL・0.97kg]
SL60cm前後になる。側へんして体高があり、褐色の横帯があり(地色との差が少なくはっきりしないことも)、体側の中央付近まで伸びる。主上顎骨に鱗がある。背鰭に欠刻がなく、尾鰭は二重湾入。
SL60cm前後になる。側へんして体高があり、褐色の横帯があり(地色との差が少なくはっきりしないことも)、体側の中央付近まで伸びる。主上顎骨に鱗がある。背鰭に欠刻がなく、尾鰭は二重湾入。
主上顎骨に鱗がある。
【上】シマアオダイ・【下】アオダイ 比較 両種が同じ場所で上がることがあるが、和名では紛らわしいが見た目はかなり違っている。シマアオダイは体高があり平たく茶色を帯びていて体に横縞がある。アオダイの方が体高が低く体色が青い。

アオダイ属で似ている2種

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科アオダイ属
外国名
Saddle-back snapper
学名
Paracaesio kusakarii Abe,1960
漢字・学名由来

漢字 縞青鯛 Simaaodai
由来・語源 1960年、阿部宗明の命名。アオダイ属で黄土色の薄い横縞のある魚という意味。
〈1960年 昭和35年:……10月31日:八丈島でシマアオゼと呼ばれるアオダイの異種。東海区水産研究所阿部宗明博士によって「シマアオダイ」と命名、学会に発表〉。『八丈管内漁業関連史料』(平成3年3月 東京都水産試験場)
種小名、kusakarii は八丈島の住人で記載したときの個体を提供した人間の名だと思われるが、たぶん東京都水産試験場の草苅正ではないかと思われる。

Abe
阿部宗明(あべ ときはる Abe Tokiharu 1911-1996)。魚類学者。田中茂穂の後継者。多くの魚を記載。国内だけではなく、「新顔の魚」にて輸入、海外で漁獲される魚の魚名も多数つけている。
地方名・市場名
ウメイロ
参考2004年荷 場所和歌山県串本 
シロアオゼ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都八丈島 
シルシチュー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
オキメイロ
場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協 
シロホタ シルウンギャル
場所鹿児島県 
シルシチューマチ
場所沖縄県 

概要

生息域

海水魚。主に水深100mよりも深いところ。
小笠原諸島、屋久島から琉球列島。伊豆諸島-[新島沖]、静岡県御前崎、三重県、和歌山県などでも少ないながらとれる。
台湾、(東沙諸島、南沙群島、フィリピン諸島・大スンダ島・カリマンタン島・オーストラリア北西岸・北岸・ニューギニア島南岸などを除く)西太平洋、サモア諸島。

生態

基本情報

伊豆諸島以南の西太平洋のやや深場に生息している。主に鹿児島、沖縄などのやや深場で揚がる魚だったが、温暖化のためか漁獲される値域が北上傾向にあり、紀伊半島、伊豆諸島などでも揚がるようになってきている。アオダイと比べると漁獲量は少ないものの、流通上での存在感を増している。
関東での定番的高級魚アオダイに似ていて、食べるとそれ以上の味なので徐々に知名度が揚がってきている。探す仲買、料理人が確実に増えている。
珍魚度 珍しい魚とは言えないが、流通量が非常に少なく、しかも非常に高い。鹿児島県、沖縄県などで探すしかない。

水産基本情報

市場での評価/関東にはあまり多く入荷してこない。非常に高価。安定的な高級魚。
漁法/釣り
産地/鹿児島県、沖縄県、東京都、和歌山県

選び方・食べ方・その他

選び方

横縞模様のはっきりしているもの。触って張りがあり、鰓が赤いもの。

味わい

旬は不明。夏、秋、春に食べたがいずれも味がよかった。
鱗は普通であまり硬くなく取りやすい。皮はやや厚く強い。骨はあまり硬くない。
血合いが赤く、透明感のある白身。熱を通しても硬くしまらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

シマアオダイの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り、セビチェ)、煮る(まーす煮、煮つけ)、ソテー(バター焼き)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁、潮汁)、揚げる(沖縄風天ぷら、唐揚げ)
シマアオダイの刺身 水洗いして3枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、刺身にする。血合いが非常に美しい。身はほどよい食感でほんのりと呈味成分からの甘味が感じられる。酸味は少なく、非常に箸が進む。わさびしょうゆ、柑橘類と塩など、どのような食べ方をしてもとてもうまい。刺身としては最上級だ。

シマアオダイの刺身 4㎏以上になる本種の特徴は小振りでも味があることだ。背と腹を分けられるぎりぎりの大きさで脂の豊かさはないものの強いうま味が感じられる。身が滑らかで筋がなく、ついつい箸が伸びてしまうおいしさだ。[33cm SL・0.97kg]
シマアオダイの皮霜造 小振りの個体の腹の部分を皮霜造にしてみた。三枚に下ろして腹の部分を皮付きのまままな板に皮目を上にしてのせ湯をかける。氷水に落として粗熱を取り、水分をよくきり、刺身状に切る。皮のうま味は焼霜造よりもわかりやすいと思う。うま味豊かな身の味も損なわない。
シマアオダイの焼霜造 皮は少し硬く厚みがあるので皮霜作り(皮に湯をかける)では、柔らかくならない。比較的強くあぶって切りつける。あぶった香ばしさと皮の食感、身の甘味があいまって非常にうまい。
シマアオダイのセビチェ 片身を使ってみるとどうしても無駄が出る。これをとっておき、細かく切る。塩とライム、辛いトウガラシ、トマトとマリネーする。少し寝かせて、好みの野菜などを加える。ライムの香りに塩というのは最強の取り合わせ。テキーラに合う。
シマアオダイと松茸のちり鍋 松茸と合わせるのは毎年、紅葉のときのマダイとかアマダイ(アカアマダイ)なのだが、今年は新しい白身の主役であるシマアオダイでやってみた。水洗いして脂のある腹身の腹骨を抜いて適当に切る。振り塩をして1時間程度寝かせ、湯通しして冷水に落として表面のぬめりを流す。水分をよくきり、羅臼昆布でとっただし・中骨・酒・塩のつゆの中で煮ながら食べる。マダイ、甘鯛以上に上品な味わいでしかも脂が豊かで柔らかい。松茸の香りに負けぬ味わいである。

シマアオダイの煮つけ 比較的大形になるので、頭部を梨子割りにして半分を使って煮つけてみた。いちばんいいだしが出て、煩わしいがうま味豊かな部分である。鱗が残りやすいので湯通しして、残った鱗とぬめりを流す。これを酒・しょうゆで煮上げる。味つけはお好みで。
シマアオダイのまーす煮 比較的大きくなるので頭部だけでも煮ものになる。これを少量の水と塩で煮上げたもの。強火で一気に火を通していく。煮汁が少なくなるとともに身にうま味がもどる、そんな風に思える。皮、身ともに非常にうまい。
シマアオダイの塩焼き 切り身にして、少し寝かせてじっくりと焼き上げた。皮にイサキ科のような風味が感じられる。身は焼いても硬く締まらず、ほどよく繊維質、箸でほぐれる感じがとてもいい。
シマアオダイの若狭焼き 塩焼きはマダイ以上に端正な味である。身は緻密でほどよく繊維質で嫌みがない。塩焼きは第一級の味ではあるが、ここでは少し調味料の味をプラスしてみた。切り身にして軽く振り塩をする。1時間ほどおき、表面に出て来た水分をきり、じっくり焼く。8分通り焼き上がったところで、若狭地(酒・醤油)を塗りながら仕上げる。焼きたてはもちろんおいしいが、冷めてもおいしい。写真は家庭料理に仕立てた2、3人前だが、これを三等分して焼き上げると小皿に盛るなり、弁当にも使える。

シマアオダイのバター焼き 切り身に塩コショウして皮目から多めの油でソテーする。仕上げにマーガリン(バターでも)で香りづけする。じっくりソテーすると皮が硬く香ばしく上がる。中はしっとりとジューシーでとてもおいしい。
シマアオダイの魚汁(みそ汁) シルシチューマチ(シマアオダイ)の魚汁は沖縄ならではの味わい。ようするにみそ汁である。アラや皮などからいいだしが出て簡単に作れる。少し濃い目に作るとご飯のおかずになる。
シマアオダイの唐揚げ 頭部、かま、はらの部分を適当に切り、片栗粉をまぶして二度揚げ。揚げ上がりに塩とヒバーツ(コショウ、ガラムマサラ、カイエンヌペッパーなどお好みで)をかけた。皮目の香ばしさに、骨に付着した身はしっとりとして甘味がある。夢中になってかぶりつける味だ。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

伊豆諸島では釣りの対象魚。アオダイは古くからお馴染みだが、釣りの対象魚としては新しい。

歴史・ことわざなど