クロシビカマス

代表的な呼び名スミヤキ

クロシビカマスの生物写真

体長80cm前後になる。身体はやや細長く左右に側へんする。全体に金属を思わせる黒紫色。腹鰭は退化的で1棘。口が大きく丈夫で非常に歯が針状で鋭い。

魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目クロタチカマス科クロシビカマス属
外国名
Snake-mackerel, Bermuda catfish
学名
Promethichthys prometheus (Cuvier, 1831)
漢字・由来
漢字 黒鴟尾梭子魚
由来・語源 標準和名は古くはスミヤキだった。
地方名・市場名
もともとはスミヤキが標準和名だった。
ウケ/高知県
ウケサワラ/高知県室戸市(20170914)
エンザラ/千葉県勝浦市、鴨川市
オキザワラ/東京
オンヨロリ/三重県尾鷲
ガラ/千葉県東京湾富津
カラス/神奈川県真鶴
ガランチョ/神奈川県三崎
ケンケラケン/茅ヶ崎から小田原
クロサンマ/千葉県銚子
コモガタ/茅ヶ崎から小田原で幼魚
サビ/静岡県伊東。
サビタチ(錆太刀)/静岡県沼津
スミヤキ(炭焼き)/茅ヶ崎から小田原
ダツ/神奈川県三崎
ナワキリ(縄切り)/神奈川県三崎
ヒラスミヤキ(平炭焼き)/茅ヶ崎から小田原
ヤッパタ/神奈川県真鶴
ヨロリ/和歌山県串本町・那智勝浦町
■ シロガワウオ、ヨウドリ、ヨガラス、ヨウロリ、ヨラリ、ヨロリ。

概要 ▽

生息域

海水魚。相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸・東シナ海、山陰隠岐、奄美大島、沖縄。天皇海山、インド・西太平洋、大西洋の暖海域。
水深150〜750メートル。

生態

産卵期は春から夏。
昼は水深500メートル前後の深海に、夜は水深150メートル付近に浮上する。
磯釣りなどをしていて釣れることもある。

基本情報

神奈川県相模湾沿いの地域、特に小田原ではスーパーなどにも並ぶ、人気の食用魚。この地域が最もよく食べているのではないか、と思っている。
脂が強く、皮の方から長く硬い骨が身に伸びていて、食べにくいことから、食べる地域と食べない地域がくっきり分かれる。当然、流通にはあまりのらない。
関東の消費地ではスーパーに並ぶことはほぼなく、魚屋さんでも特殊なものとなっている。

水産基本情報

市場での評価 各地で食用とされている。神奈川県相模湾周辺では珍重する。値段も高い。流通の場、市場では馴染みがないために安い。ときに非常に安い。
漁法 釣り、底曳き網、巻き網、定置網
産地(漁獲量の多い順) 神奈川県、和歌山県

選び方・食べ方・その他 ▽

選び方

黒いもの。触って硬いもの。

味わい

旬は秋から初夏。
鱗は非常に細かく取りやすい。背鰭などは鋭い。中骨、小骨とも硬い。
白身で脂が混在する。熱を通しても縮まない。
身のかきだし方身のかきだし 皮付近に強い骨があるために、単に皮を引いても上身(正味とも。骨や皮などを取り去ったもの)にはならない。身をスプーンなどでかきだす。書き出しは頭部から尾にむかってかきだす。

栄養

寄生虫

食べ方・料理法・作り方

生食(なめろう、たたき)、煮る(煮つけ、まーす煮)、汁(潮汁、みそ汁)、揚げる(揚げボール、唐揚げ)、焼く(塩焼き、干もの)
スミヤキのなめろうクロシビカマスのなめろう 水洗いして身をかきだして、みそ、ねぎなどの香辛野菜(みょうが、青じそ、玉ねぎ)を合わせてよく切れる包丁でとんとんとたたく。少し粘りけを持つくらい叩いても、あらくたたいてもおいしい。意外にご飯にも合うし、ソテーして食べてもいい。
スミヤキのたたきクロシビカマスのたたき 神奈川県小田原市などが発祥の「たたき」は、身を細かく切り落として香辛野菜(ねぎ、みょうが、青じそなど)と和えただけのもの。クロシビカマスの脂が強くうま味の豊かなところに爽やかな香辛野菜が加わって見事な一品になる。
クロシビカマスの煮つけ 鱗はないので内臓を取り出し、肝や胃袋は取り分けておく。体表に細かく包丁を入れて湯通しをして冷水に落として表面の滑りを取る。水分をよく切り、酒、砂糖、しょうゆ、水の地で煮る。酒、みりん、しょうゆ、水でもいい。こってりと煮るとご飯に合う。酒、塩などであっさり煮てもうまい。
クロシビカマスの肝いりクロシビカマスの肝いり 水洗いして三枚に下ろし、スプーンなどで身をかきだす。細かく包丁などでたたき、肝とあわせてたたく。これにみそ、酒、みりんを加えて鍋でから煎りする。肝が味わいにこくを与えて実に美味。酒の肴にいい。
クロシビカマスの落としクロシビカマスの落とし(ちり) 水洗いして皮の方から骨切りをする。これを三枚に下ろす。これを塩味のゆに落として氷水にとる。水分をよく切り、梅肉酢で食べる。クロシビカマスの味はやや重いので、夏などにはこんな涼やかな味もよしだと思う。
クロシビカマスの塩煮(まーす煮) 鋭い歯に気をつけて、水洗い。鍋に入る大きさに切り、肝、胃袋などと一緒に湯にくぐらせる。冷水に落として滑りや血液を洗い流す。これを少量の塩水で短時間煮上げる。身をせせり取り、煮汁にからめながら食べるととても味わい深い。柑橘類と好相性だ。
クロシビカマスのだんご汁 三枚に下ろして身をスプーンなどでかき出してたたく。ここに片栗粉、酒、塩などを加えだんごに。これを昆布だしに落としていくとうまいだしが出る。後は酒、塩で味つけして青みなどを加えるといい。みそ仕立てにしてもおいしいし、ご飯にも合う。
スミヤキの洋風揚げボールクロシビカマスの洋風揚げボール 三枚に下ろして腹骨を取る。身をかき出して、細かくたたく。腹骨と皮と骨は別に細かくたたく。乾燥パセリ(バジリコなど香りのあるもの)、塩コショウ、白ワイン少量、小麦粉少量を合わせてかき混ぜる。これを揚げる。身は粗めにたたくといい。表面はかりっと香ばしく、身は軟らかく仕上がる。
スミヤキの干ものクロシビカマスの干もの 単に塩焼きにしてもとてもうまいが、小振りのもの、脂の少ないものは干ものにすると美味。開いて立て塩に漬け込んで干し上げる。干し加減は好みで。皮目にある骨が意外に気にならず、いい味である。
クロシビカマスのリエットクロシビカマスのリエット 三枚に下ろして身をかき出す。バターでベルエシャロットと炒めて練り上げていく。仕上げに生クリーム(牛乳でもいい)を足しながら滑らかにする。少し冷めたら香りづけにディルかパセリを混ぜ込む。パンにのせてもいいし、そのまま食べてもいい。

好んで食べる地域・名物料理

スミヤキ 神奈川県相模湾周辺。煮つけ、塩焼きの定番的なもの。小さい物を開き干しなどにもする。

加工品・名産品

けんけらけん 神奈川県で小振りのものの開き干しをいう。
サビタチの開き干しサビタチの開き干し 上質の白身にたっぷりの脂があり、焼くと脂が泡立ってくる。濃厚な味で実に美味しい。[伊豆大島海産物センター、東岡商店 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町]
よろり開きよろり開き 小振りのクロシビカマスを開き干しにしたもの。上品な白身で脂に甘味が感じられる。[東岡商店 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町]
ウケサワラのうす塩ウケサワラのうす塩 大振りのクロシビカマスに薄塩をしたもの。脂がのっていて、皮と身に独特のうま味がある。ほどよく繊維質なので身離れもよく実においしい。[浦戸屋 高知県室戸市]
クロシビカマスのみりん干しスミヤキのみりん干し 神奈川県の鮮魚店で見つけたもの。大振りのスミヤキ(クロシビカマス)をみりん、砂糖、しょうゆなどに漬け込んで干し上げたもの。脂がのり、みりんとしょうゆの味と相まってとてもうまい。

釣り情報

胴つき仕掛け、イカ短冊や、カツオの腹身、サバの切り身などで狙う、底物釣りの代表的な外道。仕掛けを噛み切るので嫌われている。また夜釣りの磯、防波堤(波止)からの遠投浮子コマセ釣りなどにもくることがある。

歴史・ことわざなど

参考文献 ▽

協力/岩崎薫さん、鈴木敏夫さん、田中水産(鹿児島県鹿児島市)
『東シナ海・黄海の魚類誌 水産総合研究センター叢書』(山田梅芳、時村宗春、堀川博史、中坊徹次著 東海大学出版会)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『相模湾・海の不思議』(木幡孜 夢工房)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)


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