キマダラヒメダイ

キマダラヒメダイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長40cm前後になる。紡錘形でやや側扁する。背鰭、尾鰭上葉が黄色く、全体に褐色で黄色い色合いがまだら模様になっている。背鰭は鱗に覆われない。背鰭・臀鰭の最後の軟条は伸びる。頭部は比較的平坦。[30.5cm・663g]
体長40cm前後になる。紡錘形でやや側扁する。背鰭、尾鰭上葉が黄色く、全体に褐色で黄色い色合いがまだら模様になっている。背鰭は鱗に覆われない。背鰭・臀鰭の最後の軟条は伸びる。頭部は比較的平坦。
全体に褐色で黄色い色合いがまだら模様になっている。背鰭は鱗に覆われない背鰭・臀鰭の最後の軟条は伸びる。頭部は比較的平坦。
紡錘形でやや側扁する。頭部は比較的平坦。
紡錘形でやや側扁する。頭部は比較的平坦。
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科ヒメダイ属
外国名
Goldflag jobfish
学名
Pristipomoides auricilla (Jordan, Evermann and Tanaka, 1927)
漢字・学名由来

漢字 黄駁姫鯛、黄斑姫鯛 Kimadarahimedai
由来・語源 黄色い色合いが駁(まだら)になっているため。学名の「auri」は金で、動く黄金という意味がある。田中茂穂の命名だと思われる。
古くは沖縄県くらいでしか見られなかった。田中茂穂などが手に入れた模式標本は国内以外だったのではないか? 例えば当時統治していた台湾とか。それで『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)・『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)に掲載されていない。一般的な書籍での初出は『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25)

Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Tanaka
田中茂穂(Shigeho Tanaka 明治11-昭和49 1878-1974 高知県)。東京帝国大学にて魚類の分類を始める。日本魚類学の父。170種前後の新種を記載。献名された種も少なくない。
地方名・市場名
ショナクチ
参考20170622川崎北部荷 場所東京都小笠原諸島 
グルキンマチ
参考聞取 場所沖縄 
グルクンマチ
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
マチ
場所沖縄 

概要

生息域

海水魚。水深100mよりも深場。
小笠原諸島、北硫黄島、大隅諸島屋久島、奄美大島、琉球列島、南大東島。
台湾、南沙諸島、インド-太平洋。

生態

基本情報

めずらしい魚で関東などでは珍魚。
ヒメダイの仲間なのでオゴダイとして流通する。

水産基本情報

市場での評価 入荷は非常に希。ヒメダイとの混同から高い。
漁法 釣り
産地 小笠原、沖縄

選び方・食べ方・その他

選び方

黄色い駁模様がはっきりしているもの。眼が澄んでいるもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は春から夏。ただし産卵後以外はあまり味が落ちない。
大きいものの方が味がいい。
鱗は薄いが硬い。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。
血合いの赤い白身で火を通しても硬く締まらない。
料理の方向性
鮮度落ちが遅く、上品な非常に良質の白身で脂は身に混在してたまる。皮は厚みがあり、熱を通すと柔らかくなるが溶けて脆くなるようなことはない。料理法を選ばない魚だ。
少しだけ赤みを帯びる白身で皮は適度に柔らかい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

生食(刺身、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁)、ソテー(バター焼き)、焼く(塩焼き)、揚げる(唐揚げ)
キマダラヒメダイの刺身 三枚に下ろして皮を引き、刺身状に切る。ここでは角造りにしてみたがそぎ切りにしてもいいし、薄作りにしてもいい。数日経っても血合いの色合いがそれほど黒ずまない。均質な白身で舌触りがよく、脂は身に混在して甘味となって感じられる。
キマダラヒメダイの焼霜造り(あぶり) 三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮は厚みがあって強いので、湯をかけても柔らかくならない。ここではバーナーであぶって急速冷凍庫(氷水に落としても)で皮目を落ち着かせて切りつける。皮の食感、皮と身の間の脂の層の甘味が加わり実にうまい。
キマダラヒメダイのカルパッチョ 三枚に下ろして大型は血合いと腹骨を切り離す。小型は腹骨を取り、血合い骨を抜く。できるだけ薄く切りつける。皿ににんにくをなすりつけて油(ここでは太白ごま油、オリーブオイル、グレープシードオイルなどなんでもいい)をかけ回し、振り塩をして皿に伸ばす。切り身を皿に敷き詰めるようにしてスプーンでトントンと馴染ませる。上からも振り塩、油を回しかけて、好みの野菜、果物などをちりばめる。油ではなくドレッシングをかけ回してもいい。
キマダラヒメダイのセビチェ セビチェはラテンアメリカで作られている柑橘類と塩でのマリネだ。三枚おろしにして皮を引き、刺身などにした残りの切り落としなどを集める。塩と柑橘類(ここではライム、レモンでも日本の柑橘類でもいい。柚子を使うと和風になる)でしめる。酸が全体に回れば、辛い青唐辛子、紫玉ねぎ(玉ねぎ)を加えて和える。スピリッツに合う。
キマダラヒメダイの酒塩煮 大振りのものは切り身にして、小振りは二等分する。大振りの兜もいい。一度湯通しして氷水(冷水)に落として残った鱗、滑りなどを取る。これを酒、塩、水で煮る。火が通ったら、振りしょうがをして出来上がりだ。頭部の皮のうまさは官能的、身も硬く締まらず、豊潤な味。兜(頭部)を使うと豪勢である。
キマダラヒメダイのしょうゆ煮 上品な白身で、あっさりたんぱくに煮てもいいが、九州の薄口しょうゆと黒糖とか、酒、白砂糖、しょうゆなどでこってり煮上げてもいい。大型のものは兜(頭部)だけ、切り身を煮つける。小振りのものは二等分して煮る。甘辛く煮つけてもちゃんと白身のうま味、皮のぷるんとした食感と甘味が感じられてとても味がいい。
キマダラヒメダイのバター焼き キマダラヒメダイは三枚に下ろして適宜に切る。塩コショウしてたっぷりの油でこんがりとソテーする。余分な油を捨ててマーガリン(バター)で風味づけをする。仕上げにしょうゆをたらしてもいい。こってりとしたマーガリン味なのにとてもご飯に合う。しょうゆをたらすとよりご飯がすすむ。ビール、泡盛にもいい。
キマダラヒメダイのみそ汁 刺身やソテーにした残りのあら、卵巣、肝などを集めておく。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめり、血液を流す。これを水(昆布だし)から煮出す。酒を加えて、火が通ったらみそをとき入れる。仕上げにしょうがの搾り汁を振ってもいい。上品な味わいだが、うま味に奥行きがある。これでご飯もいいし、酒のしめもいい。青み、薬味などはお好みで。豆腐やなす、ごぼうなどと合わせて作ってもおいしい。
キマダラヒメダイの塩焼き 二枚に下ろして骨つきの方を適宜に切る。振り塩をしてできれば1時間以上置く。表面の水分を拭き取り、じっくりと焼き上げる。上品な味わいなのに、皮目に独特の好ましい風味があり、適度に繊維質の身は骨離れがよく甘い。非常に美味である。意外に白ワインなどにも合う。
キマダラヒメダイの唐揚げ 三枚に下ろして適当に切る。水分をよく拭き取る。これにコショウ、カレー粉、ガラムマサラなどで香りづけする。片栗粉をまぶして少し置き、また片栗粉をまぶしてじっくりと表面はかりっと香ばしく中は豊潤に揚げる。
キマダラヒメダイの洋風炊き込みご飯 三枚に下ろして腹側を使う。適宜に切り、強い塩をしてコショウをまぶす。1時間以上寝かせて、油たっぷりのフライパンでにんにくと一緒にじっくりとソテーする。これを水洗いし水加減した米に加える。油は好みで還元する。炊き込みの釜にローリエ、セージ、タイム、ディルなどを加えて一緒に炊き込む。炊きあがって塩加減を見て塩を振る。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど