イボキサゴ

イボキサゴの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
殻幅2cm前後。螺層の情報に瘤上の隆起が並ぶ。
色彩は多彩で美しい。

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魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度
食用として認知されていない
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門腹足綱前鰓亜綱古腹足目ニシキウズガイ科Umbonium(サラサキサゴ)属
外国名
学名
Umbonium moniliferum (Lamarck,1822) 
漢字・学名由来

漢字 疣喜佐古、疣細螺、疣扁螺 Ibokisago
由来・語源 岩川友太郎の命名。貝殻に疣状の隆起があるため。

「きさご」について
〈幾左古 正字は未詳 思うに幾左古は状蝸牛に似ているが、厚く堅くて彩文がある。殻の中には寄居虫(ごうな/ヤドカリ)のような虫がいる。伊勢・尾張および東海の諸浜に多くいる。土地の人は虫を取り去って洗浄し、これを玩具とする。〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)

地方名・市場名

概要

生息域

内湾にある干潟、砂地。
北海道〜九州。

生態

基本情報

キサゴと本種はなかなか見分け方が困難であるがひっくり返してヘソの平滑な部分の大きいのが本種、小さいのがキサゴである。「イボ」とはつくが本種には「いぼ」があるものとないものがあり、同定の決め手とはならない。
東京湾周辺では縄文時代に盛んに採取、食用とされていたようだが、今は食用とすることはない。
おはじき(オハジキ、お弾き、御弾)の起源になった貝として有名。

水産基本情報

市場での評価 市場にくるキサゴの仲間(関東ではながらみ)はほとんどがダンベイキサゴであり、キサゴがたまに築地などで見ることができる。本種は今まで一度も流通の場では見ていない。
漁法 じょれん、腰引き漁
産地 千葉県

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は春だと思う。
キサゴ類中もっとも小形だが、身は充実して歩留まりが言い。取り出しやすい。
内臓などに苦みがない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

調理法
みそ汁/塩茹で/煮貝

砂抜き 潮干狩りなどで持ち帰ったら一晩砂を抜く(海水をペットボトルなどで持ち帰るといい)。
みそ汁 たくさん鍋に入れて、水を入れて煮立ったらみそをとく。これでみそ汁が出来上がる。これは味わい深くなかなかのもの。塩茹で、煮貝は身を取り出すのが大変だが美味。
塩ゆで 塩水で短時間ゆでたもの。ゆですぎには注意が必要。身に甘みが豊かでとても味がいい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

おはじき 栃木県、埼玉県などでは「おはじき」のことを「きしゃご」という。キサゴの仲間の貝殻は、おはじきの原型と言われる。中でも小振りで、色彩の変化が多く、美しいので、遊び道具のおはじきとして主に使われたのは本種だと思う。おはじきの起源は本来、小石や貝殻をはじいて遊んだもの。今のようなガラス製が登場したのは何時の時代なのか? これは徐々に調べるつもりだ。
肥料 〈千葉県市原市八幡では、キシャゴ採取の権利を売り、昭和初年まで、小アサリと共に稲の植付け時の肥料とした。今津でも同じ。富津でもキサゴ(イボキサゴ)を砕いて、ヒトデと同じように肥料とした。〉『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)

地方名・市場名

ナガラ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所三重県二見 
ネコガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所京都府宮津、長崎県長崎、熊本県苓北町富岡 
コフラ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所佐賀県唐津 
ハリガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所兵庫県高砂市 
キシャゴ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所千葉県富津・船橋・浦安 
キサゴ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所千葉県木更津市久津間・中島・袖ケ浦、徳島県鳴門 
ガナゾ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県木更津市小浜 
ガンド ヒサゴ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所千葉県木更津市桜井 
ソウマイ ソウメエ ソウメエゲエ
サイズ / 時期稚貝 参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所千葉県木更津市牛込・中島・畔戸・久津間 
キチャンゴ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所千葉県稲毛 
ヤサラ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所山口県大島郡・柳井・萩・見島 
ツブ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所岩手県陸中海岸 
シャゴ シャゴー
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所愛媛県大三島 
ヨラメ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所愛知県豊橋市 
ザリガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所熊本県苓北町富岡 
イシャラ イシャラガイ シャンガラ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所関門地方とあるが、下関と福岡の関門海峡付近のことだと思う。 
ナガラミ ナガラメ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所静岡県御前崎 
ゴウナイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所静岡県浜名湖 
ヨロミ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所静岡県舞阪 
シャコ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所香川県 
ゴカイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所香川県坂出市 
テンジンゴナ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)  場所香川県多度津町白方 
イロシタダミ
参考文献