アヤトビウオ

アヤトビウオの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長27cm前後になる。トビウオ科ではずんぐりしていいる。胸鰭の前方から3軟条(1本目は痕跡的で指の感触でわかるのみ)までが不分枝。胸鰭に黒い斑紋が規則的に並ぶ。
胸鰭に黒い斑紋が比較的規則的に並ぶ。
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区棘鰭上目スメグマモルフ系トウゴロウイワシ亜系ダツ目トビウオ亜目トビウオ科Cypselurus属
外国名
Yellowing flyingfish
学名
Cypselurus poecilopterus crassus Shakhovskoy and Parin, 2022
漢字・学名由来

漢字 綾飛魚 Ayatobiuo
由来 胸ビレに文(あや・綾 文様)のあるトビウオ。
Cypselurus poecilopterus (Valenciennes,1846)→Cypselurus poecilopterus crassus Shakhovskoy and Parin, 2022
日本周辺の個体は新亜種となる。

Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。
地方名・市場名
コトビ[小飛]
参考聞取 場所三重県志摩市波切 
トッピー アゴ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
ヘイジロー
サイズ / 時期幼魚 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
ガタ
場所徳島県海部郡海陽町宍喰浦宍喰漁港『宍喰漁業協同組合』 
セミ
場所鹿児島県屋久島町安房 
ブーカー
場所沖縄県 

概要

生息域

海水魚。
[宮城県気仙沼]、房総半島館山〜琉球列島の黒潮域、伊豆諸島、小笠原諸島。
北海道太平洋沿岸、青森県八戸、富山湾、兵庫県浜坂、九州西岸。
朝鮮半島南岸・東岸、台湾、インド-西太平洋。

生態

基本情報

主に太平洋沿岸、琉球列島の黒潮域でとれる。九州、四国、本州などでは夏から秋にかけて来遊して定置網などに入る。
他の食用トビウオ類と比べると小型であるため値段が安く全国的に流通はしない。
主に産地周辺でのみ食べられ、流通している。屋久島などではすり身になる。

水産基本情報

市場での評価 関東にはあまり入荷を見ない。安い。
漁法 定置網
産地 鹿児島県、和歌山県、徳島県、高知県など

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。体表にコバルトブルーの色合いを感じるもの。

味わい

旬は夏〜秋。
料理する前に胸鰭と尻鰭を包丁で抜くといい。鱗は薄く取りやすい。厚みのある皮だが弱い。中骨は少し硬いが全体に骨は軟らかい。
透明感のある白身で熱を通すと硬く締まる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

アヤトビウオの料理法・レシピ・食べ方/煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、揚げる(天ぷら、唐揚げ)、ソテー(さんが焼き、ハンバーグ)、焼く(干もの、塩焼き)、生食(なめろう、焼き切り、刺身)
アヤトビウオの煮つけ 身や皮にうま味があるが少し水っぽい。これをしょうゆ味で締めるように煮たもの。煩わしいので頭部や胸鰭、腹鰭を取り、一度湯通し(新鮮なものや、鱗を完璧に取ったものは不要)して水分をよくきる。これを酒、みりん、しょうゆ、甘いのが好きなら砂糖、水を合わせたもので煮上げる。

アヤトビウオのみそ汁 水洗いして一尾丸ごと、小口から切り離し、一度湯通しして冷水に取り、鱗や血液などを洗い流す。よく水切りをして水(昆布だし)から煮てみそを溶く。非常にうま味豊かなだしが出て、滋味豊かな味がする。ご飯にも合う。
アヤトビウオの天ぷら 水洗いして三枚に下ろして小骨を抜き、水分をよく取る。これに小麦粉をまぶして、衣をつけてやや高温で揚げたもの。サクッとして香ばしく中がしっとりと揚がる。皮目に青魚の風味があり、身が適度にしまって味わい深い。
ホソトビウオのさんが焼き 三枚に下ろして皮を剥き、細かく切り、みそ、ねぎなどと包丁でたたいて作るのが「なめろう」だ。これをフライパンに油をしき、ソテーしたもの。たたいた身の甘さがみそで引き立ち、実に味わい深い。本来「さんが焼き」はたき火などで焼くものだが、現今はもっぱら「ソテー」して作る。
アヤトビウオの一夜干し アヤトビウオの鱗を取り開いて干し上げたもの。味つけは塩のみ。やや水分が多いので強めに干した方がうまい。また焼き前に酒をまぶす、しょうゆやみりんで味つけしてもおいしい。
アヤトビウオの塩焼き 煩わしい頭部を取り去り、振り塩をして1時間以上置く。これをじっくりと焼き上げたもの。皮目に独特の風味があり捨てがたい味だが、干ものなどに比べると味は落ちる。
アヤトビウオのなめろう(みそたたき) 千葉県・徳島県などでは「なめろう」、東北太平洋側などでは「みそたたき」という。三枚に下ろして皮を剥き、細かく切る。これにみそ(ここでは徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島の麦みそ)とねぎを合わせて包丁でたたいたもの。青魚ならではのうま味が感じられてとてもうまい。
アヤトビウオの焼霜造り 三枚に下ろして血合い骨を抜く。この皮目をあぶって、急速冷凍庫などで凍らない程度に冷ます。刺身状に切りつけてポン酢、柑橘類としょうゆで食べる。要するに焼霜造りで、高知県などでは「たたき」、徳島県では「焼き切り」という。
アヤトビウオの刺身 三枚に下ろして血合い骨を抜く。これを皮付きのまま切り落としたもの。お好みで胡麻(ごま)を振る、ねぎと合わせるなどすると見栄えからしてよい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど