アカマンボウ

代表的な呼び名マンダイ


体長2m前後になる。側扁(左右に平たい)し、体高が高く円形に近い。全体に水玉状の白い斑文がある。鰭は赤く、背鰭(せびれ)、腹鰭、胸鰭が長い。腹鰭(しりびれ)は腹の位置にある。

珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱綱条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区アカマンボウ上目アカマンボウ目アカマンボウ科アカマンボウ属
外国名
Opah, Sunfish 紅皮刀、月魚
学名
Lampris megalopsis Underkoffler, Luers, Hyde and Craig, 2018
漢字・学名由来

漢字 赤翻車魚 Akamanbou
由来・語源 東京での呼び名。翻車魚(マンボウ)に似た形で、赤いところから。
『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)には硬骨魚目異顎亞目アカマンバウ族アカマンバウ科アカマンバウ属アカマンバウ(マンダイ)。
Lampris guttatus (Brunnich, 1788) とされていて、本種と後2種が2018年新種記載される。Lampris guttatus (Brunnich, 1788 は大西洋に生息。

地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。外洋表層性。
北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、津軽半島〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、琉球列島、東シナ海。
世界中の暖海域。

生態

クラゲなどを食べている。

基本情報

世界中の暖海域にいる魚で同科は世界中に1属5種。マグロ延縄漁の行われる漁港などに水揚げされている。非常に大きいので産地周辺で解体されることが多い。フィレの他には加工品原料となることも多いようだ。
消費地でも基本的に切り身にして販売される。また見た目がおもしろいのですし店や魚店などの飾り的に置かれることも。
古くは回転ずしやスーパーなどでキハダマグロやカジキ類として売られていたこともあるようだ。今現在、関東では「まんだい」という名でスーパーなどに並ぶことがある。脂がほどよくのっていて味のいい魚で、切身としては人気が高い。
珍魚度 珍魚ではない。切り身はときどきスーパーなどにも並ぶ。丸のままの状態で見るのは産地などで探すしかない。

水産基本情報

市場での評価 市場ではフィレで見かけることが多い。比較的安くて、総菜魚として安定した人気がある。
漁法 延縄漁
主な産地 沖縄県、宮城県、神奈川県、和歌山県、高知県、などマグロの基地のある地域
アカマンボウの競り風景 主にマグロの水揚げ港で見かけることが多いが、他の市場などでもマグロと一緒に競り場に並んでいることが多い。

選び方・食べ方・その他

選び方

フィレが基本。赤いもの。透明感のないものの方が脂がある腹側には脂がのっていて刺身になる。

味わい

旬は不明。
鱗は細かく取りやすい。皮はあまり厚くはない。骨は全般にやや硬め。腹部に板状の硬い骨があって下ろしにくい。
赤みがかった白身で主に腹の方に脂がのっている。熱を通しても硬く締まらない。


身は赤みがあり、背の方は脂が少なく筋が多い。腹の方は脂がのっていて筋が少ない。写真は背の部分。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

アカマンボウの料理法・レシピ・食べ方/生食(カルパッチョ、刺身)、ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ、唐揚げ)、焼く(みそ漬け、塩焼き、幽庵焼き)、汁(みそ汁)、煮る(みそ煮)
アカマンボウの刺身 基本的に切り身で買うもので腹の身と背の部分は味が違う。腹の部分は脂がのっていて甘味があり、背の部分は筋が多くさっぱりとした味わい。どちらにしてもイヤミのない味で食べやすい。

アカマンボウのカルパッチョ 背の部分を出来るだけ薄く切る。皿などにオリーブオイルを入れ、にんにく、塩を混ぜておく。ここに薄切りを並べていき、スプーンなどで軽く叩き馴染ませる。上からハーブ類やコショウ、つぶしトマトなどをのせてまたオリーブオイルを回しかける。
アカマンボウのムニエル 切り身は適当な厚みに切る。腹側の薄い皮の部分なら皮付きでも大丈夫だ。塩コショウして小麦粉をまぶしてじっくりとソテーする。皮付きなら表面がかりっとして中はしっとりとジューシーに仕上げる。
アカマンボウのフライ 適宜な厚みに切り、塩コショウする。小麦粉をまぶして溶き卵にくぐらせてパン粉をつけてかりっと揚げる。表面はさくっと中はしっとりとしている。やや硬く締まるがイヤミのない味でおいしい。
アカマンボウの唐揚げ 刺身やフライ、焼きものに使ったあとの切れ端を集めて唐揚げにする。しょうゆ、みりんなどの地につけ込んで竜田揚げにしてもいい。ここでは片栗粉をまぶしてじっくりと揚げて、仕上げにカレー塩を振った。じっくり揚げても中はジューシーに揚がり、とてもうまい。
アカマンボウの西京漬け 白みそはできればすりみそではなく、あらみそを用意して欲しい。白みそとみりん、少量の砂糖を合わせておく。切り身は振り塩をして少し置き、表面の水分をよく拭き取る。これをみそに漬け込んで半日以上置く。みその塩分濃度によって数日漬け込んでもいい。白みそで漬けるとあまり硬く締まらず、上品な甘味でとてもおいしい。
アカマンボウの塩焼き 腹の部分なら単に塩焼きにしても味がいい。適宜に切り、振り塩をして1時間以上寝かせる。これをじっくりと焼き上げる。皮目に脂があり、身に甘みがあって、なかなかに捨てがたい味わい。背の部分を焼いた時には少し淡泊なのでオリーブオイルなどをかけ回してもいい。
アカマンボウのみそ汁 腹の部分は中骨のところを集めて湯通しする。冷水に取り、血液や鱗などを流し、よく水分を切っておく。これを水から煮出してお好みのみそを溶く。薬味は沖縄のコーレーグスが合う。酒の後などにもいいが、ご飯のおかずにもいい。
アカマンボウの煮つけ 脂ののった腹の部分を適宜に切り、湯にくぐらせる。冷水に落として鱗や滑りを取り、よく水分を切っておく。これをしょうゆ、酒、砂糖であっさりと煮る。「酒、塩」、「酒、みりん、しょうゆ」など調味料はお好みのものを使うといい。ご飯のおかずに持って来いだ。
アカマンボウの卵巣のムニエル
アカマンボウの卵巣の煮つけ
アカマンボウの卵巣の塩焼き

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品


マンダイみりん干し 三重県尾鷲市。醤油、砂糖で漬け込み、干したもの。みりんは使っていない。甘みのやや強いひなびた味わいながらご飯にも酒の肴にもよい。[北村商店 三重県尾鷲市]

釣り情報

歴史・ことわざなど

■マカジキとして売られていたこともある。

地方名・市場名

イソダイ
備考水族志 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県九鬼浦(九木浦) 
ヒャクマンダイ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県尾鷲・二木島、和歌山県湯浅・周参見・太地 
カナカブト
備考水族志 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山 
マンデン
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県和歌浦 
モンダイ
参考文献 場所富山県氷見 
アカマンボウ
参考文献 場所東京、神奈川県江ノ島 
マンタイ
参考『原色 沖縄の魚』(具志堅宗弘 タイガー印刷 1972) 場所沖縄 
イソマナガツオ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所紀州 
アカマンブ
参考文献 場所長崎県壱岐 
キンタイ
参考相坂幸二さん 場所青森県八戸市、宮城県気仙沼市 
マンダイ[萬鯛/万鯛]
備考マンダイと呼ばれることが多い。 参考聞取、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所関東周辺の市場など、三重県二木島、和歌山県田辺・串本 
マンボウ
参考文献 場所青森