ヤリヌメリ

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体長16cm前後になる。口は小さく、第一背鰭の軟条は長く伸びる。前鰓蓋骨の棘はまっすぐ槍状に伸びる。尻鰭の縁は黒い。[雄]
体長16cm前後になる。口は小さく、第一背鰭の軟条は長く伸びる。前鰓蓋骨の棘はまっすぐ槍状に伸びる。尻鰭の縁は黒い。[雄]
薄い茶色の退色をしている。
前鰓蓋骨の棘はまっすぐ槍状に伸びる。
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ネズッポ亜目ネズッポ科ネズッポ属
外国名
学名
Repomucenus huguenini (Bleeker, 1859)
漢字・学名由来

漢字 槍滑
由来・語源 前鰓蓋骨の棘が槍状だから。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)にはナガサキヌメリ。

Bleeker
Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。
地方名・市場名
ヨドゴチ
参考森勢(熊本市) 場所熊本県熊本市 
オイラン
場所愛知県(築地場内) 
メゴチ
場所東京市場など関東周辺 

概要

生息域

海水魚。水深30-80mの砂泥地。
北海道函館、青森県八戸、茨城県〜九州南岸の太平洋、少ないが北海道〜新潟県の日本海沿岸、新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、少ないが瀬戸内海、東シナ海大陸棚域。
済州島、台湾、中国浙江省・福建省・広東省。

生態

基本情報

浅場にいるネズミゴチ(めごち)が減少して、天ぷら店の多い関東には日本各地からネズッポ属の魚が入荷してくる。本種もそのひとつ。
本種は相模湾や東京湾では「煙草滑(たばこぬめり)」といい、強い刺激臭、辛みのある個体がいて、中毒例がある。
辛みを呈するのは極性の高い脂質で毒性がある。
刺激臭の成分は硫黄原子の入った化合物のメチルメルカプタン(腐った玉ねぎのような臭い)とジメチルドサルフィド(ジメチルサルファイド)、ジメチルジスルフィド(ジメチルジサルファイド)。
筋肉に問題の物質があって、表面上はわからないこともある。この場合にも舌に強い刺激があって食べられない。
この問題物質のないものは非常に美味だが、表面上見わけがつかない。
●本種のなかで刺激臭、辛みなどを持つ個体は食べてはいけない

水産基本情報

市場での評価 入荷量は少ない。大形のものは非常に高価。小振りのものも決して安くはない。
漁法 底曳き網
産地 福岡県、長崎県

選び方・食べ方・その他

選び方

刺激臭、筋肉に刺激物質を含むものは食用にはならない
触って張りのあるもの。滑りがあまり出ていないもの。内臓が破れているもの、滑りが白濁しているものは古い。

味わい

旬は春から初夏。
強い刺激臭を持つ個体、筋肉に刺激物質を含むものは食べられないこともある
鱗は気にならない。皮は比較的強い。骨は軟らかい。
基本的に頭部は取り料理するので歩留まりは悪い。個体によってはえぐみのあるもののある。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ヤリヌメリの料理法・レシピ・食べ方/揚げる(天ぷら、唐揚げ)、煮る(煮つけ)
ヤリヌメリの天ぷら できるだけ大きなものを選び、左右を開いて、中骨をすき、衣をつけて揚げたもの。高温で短時間、表面が香ばしくなるように揚げるといい。独特の皮の風味、ふんわりふくらんだ身の甘さがとてもいい。
ヤリヌメリの唐揚げ 小振りのものは頭部を取り、そのまま唐揚げにしてもうまい。丁寧に左右を開いて揚げると、短時間に皮目や鰭が香ばしく、なかはしっとりとした状態に出来上がる。
ヤリヌメリの煮つけ 頭部を落として内臓を取り、きれいに水洗い。肝はていねいにとり、取り分けておく。湯通しして冷水に落として、ぬめりを流す。これをしょうゆ、酒、みりんで煮る。比較的あっさり煮たもの。上質の白身で煮ても柔らかく、甘味がある。肝も美味。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど