ミナミギンガメアジ

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全長75cm前後になる。やや細長く側扁している(左右に平たい)。目が非常に前方にある。胸鰭が長い。尾鰭の下葉(下の方)が黄色い、もしくは黒くない。背から頭部、口にいたるラインが目の先でやや膨らむ〈おでこが出ている〉。鰓蓋(さいがい)上部に黒い斑文がある。[鹿児島県産 若魚]
全長75cm前後になる。やや細長く側扁している(左右に平たい)。目が非常に前方にある。胸鰭が長い。尾鰭の下葉(下の方)が黄色い、もしくは黒くない。背から頭部、口にいたるラインが目の先でやや膨らむ〈おでこが出ている〉。鰓蓋(さいがい)上部に黒い斑文がある。[三重県熊野市産 全長75cm]
鰓蓋上部の黒い斑紋がはっきりしている。背から頭部、口にいたるラインは丸く吻は短い。
ミナミギンガメアジの幼魚だろうと思った個体。神奈川県二宮沖相模湾 SL 80mm。
珍魚度・珍しさ★★★★
めったに出合えない
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科ギンガメアジ属
外国名
Tille trevally
学名
Caranx tille Cuvier, 1833
漢字・学名由来

漢字 南銀紙鰺 Minamigingameaji
由来・語源 ギンガメアジと同属でやや温かい海域(南)に生息するという意味。
一般書籍に初めて登場するのは、『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝弥彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984)で解説は具志堅宗弘である。この時期、具志堅宗弘は盛んに沖縄県で揚がる魚の研究をして論文も出している。
■ギンガメアジの由来については不明だが、長崎での呼び名をとって標準和名とした。「体表が銀紙を張ったように輝く」ことから。参考/『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
地方名・市場名
ソージ
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県知念漁協 
キゼンメ
備考『ぜんめ』とは〈筮(ぜん)〉に〈め〉の魚名尾語をつけたもの。「筮」は竹矢来のことで棘のある魚の意。参考:『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版」というのがある。ただし棘ではなく竹矢来の格子に組んだ真四角に由来しないだろうか?。 参考『新釈魚名考』榮川省造 青銅企画出版 場所鹿児島県南さつま市笠沙で 

概要

生息域

海水魚。内湾やサンゴ礁などの沿岸域。
[三重県熊野市/成魚]、山口県下関、鹿児島県南さつま市笠沙・内之浦湾・種子島、沖縄島。
台湾、福建省、広東省、海南島、中沙諸島、西沙諸島、アフリカ東岸タンザニア、南アフリカ、フィジー、オーストラリア、インド-西太平洋(ハワイ諸島を含む)。

生態

幼魚、若魚は内湾、サンゴ礁、河口域、川にものぼる。

ミナミギンガメアジ ギンガメアジよりも体高が低い。鰓蓋上部の黒斑はくっきりしている。頭部から吻にかけて急に曲がり込む。吻が短い。
ギンガメアジ ミナミギンガメアジと比べて体高がある。背鰭、尾鰭、背中の部分などが黒っぽい。鰓蓋上部の黒斑は小さい。頭部から吻にかけて緩やかなカーブを描く。

基本情報

鹿児島県、沖縄県などではギンガメアジと混同されている可能性大だが、ギンガメアジに希に混ざる程度。食用魚としてもほとんど認知されていない。
本州、三重県でも揚がっているので、北上傾向にあるのかも知れない。
珍魚度 珍魚といってもぎりぎりいいだろう。がんばって探しても手に入らないと思われる。

水産基本情報

市場での評価 関東への入荷は非常に。ギンガメアジとの混同があると思われる。安い。
漁法 釣り、定置網
主な産地 鹿児島県、沖縄県

選び方・食べ方・その他

選び方

できるだけ黒くないもの。触って硬く、鰓が鮮紅色のもの。

味わい

旬/調べているところ。
ぜんご(稜鱗)は硬く強い。鱗はほとんど気にならない。皮は薄い。
やや赤みがかった白身で血合いは赤い。熱を通すとやや縮む。

料理の方向性
アジ科らしいうま味があって、血合いなどは少ないので上品な味わいといえそう。生食、焼く、煮る、ソテー、揚げる、など料理法を選ばない。ギンガメアジよりも美味。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ミナミギンガメアジjの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(煮つけ、まーす煮)、焼く(塩焼き)、汁(みそ汁)、揚げる(フライ、唐揚げ)
ミナミギンガメアジの刺身 水洗いして三枚に下ろして皮を引き、刺身に切ったもの。血合いの赤が薄く、一見、シマアジと見まごうばかりでとても美しい。食べた味も似ていて、一瞬シマアジを食べているように思える。アジ科ならではのうま味と心地よい食感で言うこと無しのうまさだ。


ミナミギンガメアジのセビチェ 腹の薄い部分や尾に近い部分を細かく切る。塩とライムでマリネーする。表面が白くなったら辛い青唐辛子と紫玉ねぎで和える。塩とライムで締めてあるので食べて爽やかである上にアジ科ならではのうまさが感じられる。苦みのある野菜と合わせるとおいしい。
ミナミギンガメアジの煮つけ 二枚に下ろして骨付きの方を煮つけにした。しょうゆ、酒、砂糖の総菜用に煮て、硬く締まらず、魚のうま味豊かでとてもご飯に合う。やはりアジ科の魚は煮つけにして美味であることを再認識。
ミナミギンガメアジの塩焼き 11月中旬に鹿児島から来たものは非常に脂がのっていた。本種の旬はまだわからないが、二枚下ろしにして骨付きのものを塩焼きにすると脂が表面に浮き上がってきてとても香ばしい。それでいながら中は豊潤というのがうれしい。
ミナミギンガメアジのバター焼き 三枚に下ろして皮付きのまま塩コショウして少し寝かせる。これを最初は多めの油でこんがりとソテーして、少し油を捨てる。仕上げにバターで風味づけする。切り身を取り出してベルエシャロットを炒めて少量のワインでデグラッセし、仕上げにパセリなどを加える。しょうゆを最後に加えるとご飯に合う。
ミナミギンガメアジのみそ汁 頭部や中骨などのあらを湯引き、冷水に落として鱗やぬめりを取る。水をよくきり、水から煮出してみそを溶くと出来上がり。青みはお好みのものを。驚くほどうま味の強い汁でみそ味なのでご飯に合う。
ミナミギンガメアジのフライ 三枚に下ろして皮は少し硬いので引く。塩コショウして溶き卵にくぐらせてパン粉をまぶして揚げたもの。クセのない白身でアジ科らしいうま味が豊かである。当然、マアジで作るアジフライ同様にとても味わい深い。
ミナミギンガメアジの唐揚げ あらと頭部を適宜に切り、片栗粉をまぶして二度揚げにし、塩コショウで味つけしたもの。鰭や皮が香ばしく、締まった身に甘みがあってとてもおいしい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど