ホホスジタルミ


体長60cm前後になる。鯛形で側変へんし、全体に暗褐色。尾ビレが非常に大きい。頬の部分に筋状の文様がある。

魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚類綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科マダラタルミ属
外国名
Midnight snapper
学名
Macolor macularis Fowler,1931
漢字・学名由来

漢字 頬筋樽見
由来・語源 ほおに筋状の模様がある「たるみ」の意味。「たるみ」は和歌山県などでのフエダイ科魚類の総称。

地方名・市場名
タカジュ
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部島 

概要

生息域

海水魚。岩礁域、サンゴ礁域。
[三重県熊野市]、小笠原諸島、琉球列島
幼魚/和歌山県串本、高知県柏島、屋久島
台湾南部、南沙諸島、モルジブ諸島以東のインド-太平洋、マーシャル諸島。

生態

基本情報

主に熱帯域、亜熱帯域の浅場に生息する珍しい魚のひとつ。
幼魚期と成魚期で模様や形態などで大きな違いがある。
成魚は体長の割りに体高があるので実見するととても大きく感じる。
非常に味のいい白身ではあるが、知名度が低い。

水産基本情報

市場での評価/沖縄県ではやや希少、鹿児島県では希少な魚。高い。
漁法/釣り
産地/沖縄県、鹿児島県、東京都

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。退色して色の薄い、模様のはっきりしないものは古い。

味わい

旬は不明。
鱗は硬く、すき引きする方がいい。皮は厚い。骨はあまり硬くない。
血合いが赤く、身も少し赤みがかる上質の白身。適度に繊維質で熱を通しても強く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

生食(刺身、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁)、揚げる(唐揚げ)、ソテー(ポワレ)、焼く(塩焼き)
ホホスジタルミの刺身 皮をひくとびっくりするほどの美しである。血合いの赤に、身にも朱を帯びる。少し白濁しているのは脂が混在しているためだ。口に入れると脂から来る甘さがあり、舌触りがよく、強い魚のうま味がある。素晴らしい味だと思う。
ホホスジタルミの煮つけ ホホスジタルミの頭部とかまを適宜に切る。湯通しして冷水に落とし残った鱗やぬめりを洗い流す。これを酒、砂糖、しょうゆ味で煮る。普通よりも長めに煮込むと皮も身も柔らかくなりとても味わい深い。酒、塩でも酒、みりん、しょうゆで味つけしてもおいしい。
ホホスジタルミのみそ汁(魚汁) 沖縄の「みーばい汁(ハタのみそ汁)」は有名だし、実際に食べて最高の味わいだが、本種を使ったものも負けずとも劣らずの味である。あらを集めて湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを取り、水(昆布だしでも)と少量の泡盛(清酒でも)で煮だしてみそをとく。濃厚なうまさの汁になる。
ホホスジタルミの唐揚げ 中骨の部分に片栗粉をまぶしてじっくりと揚げたもの。揚げあがりにカイエンヌペッパーと塩をふる。身は揚げてしまり、食感は鶏肉に近い。身に独特の香りがあり、実においしい。下味をつけて揚げてもいい。
ホホスジタルミのポワレ 鮮度がいいと皮や身が強く締まるので少し寝かせる。塩コショウして1時間以上置き、皮目からたっぷりの油(ここではオリーブオイルを使ったがなんでもいい)でソテーする。火が通ったら身を取り出し、白ワインでデグラッセする。
ホホスジタルミの塩焼き 鮮度がいいと熱を通すと強くしまるので少し寝かせる。振り塩をしてじっくりと焼き上げる。適度に締まった身は鶏肉を思わせて繊維状にほぐれる。身に甘みがあって豊潤。オイル(ヘーゼルナッツオイルやグレープシードオイル、オリーブオイル)やバルサミコ酢をかけて食べてもうまい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど