ヒシカイワリ

ヒシカイワリの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長1m前後になる。体側は菱形に近い。胸鰭は長い。第二背鰭、尻鰭の先端は伸びる。舌、口腔は淡い色合い。遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。[体長20cmの幼魚]
口腔は淡い色合い。舌の先端はやや尖る。
遊離尻鰭棘は露出していて可動性だ。
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目アジ科クボアジ属
外国名
Longrakered trevally
学名
Atropus mentalis (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1833)
漢字・学名由来

漢字/菱貝割 Hishikaiwari
由来・語源/体形がカイワリに似て、形が菱形に近いため。
〈ヒシカイワリ属(新称) Ulua JORDAN et SNYDER, 1908 ヒシカイワリ(新称) Ulua richardsoni JORDAN et SNYDER〉。属名も種名もシノニム。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)
属名 Ulua はハワイで本種の名前としている。ただしロウニンアジなどである可能性が高い。
Ulua mentalis (Cuvier, 1833) ヒシカイワリ属→Atropus mentalis (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1833) クボアジ属 2022/01/23

Cuvier
バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。
Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沿岸の浅場。
鹿児島県笠沙。
台湾、海南島、トンキン湾、インド-ニューギニア島北東岸以東を除く西太平洋。

生態

基本情報

国内では鹿児島県で幼魚しか見つかっていない。
非常に美味。

水産基本情報

市場での評価/一度も流通の場で見ていない。
漁法/定置網
産地/鹿児島県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は不明。2016年11月20日の個体は脂がのっていた。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄いがしっかりしている。骨は軟らかい。
透明感のある白身で血合いは弱い。熱を通すとやや締まる。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ヒシカイワリの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(フライ)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)
ヒシカイワリの刺身 水洗いして三枚に下ろし、血合い骨を取り、刺身にしたもの。適度な食感があり、アジ科特有のうま味がある。一見シマアジを思わせる味わいである。幼魚でこの味なら成魚のうまさは想像以上かも知れない。

ヒシカイワリのフライ 三枚に下ろして皮付きのまま塩コショウする。少し置き、小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせて、パン粉をつけて揚げる。表面が香ばしく、中はしっとりとジューシーに揚がる。とても美味である。
ヒシカイワリの塩焼き 二枚に下ろして骨つきの方を適宜に切り、振り塩をする。1時間以上置き、じっくりと焼き上げる。皮に独特の香りがあり、身に強いうま味がある。適度に繊維質の身は身離れがよく実に美味。
ヒシカイワリの煮つけ 水洗いして二枚に下ろす。切り身にして湯通しする。冷水に落として表面のぬめりなどを流して水分をよくきる。これを酒・砂糖・醤油・水を沸かした中で煮る。アジ科らしくいいだしが出てとてもいいだしが出る。この煮汁を絡めながら食べると非常に味わい深い。
ヒシカイワリのみそ汁 沖縄ではアジ類を「がーら」と呼ぶ。その代表的な料理が「魚汁」、すなわちみそ汁である。アジ類ならではのうま味がとても味わい深い汁になるが、本種も同様にうまい。あらを湯引きして冷水に落として鱗や血液、ぬめりを落として水分を切り、水から煮出してみそを溶く。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど