セダカクロサギ

セダカクロサギの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
29cm SL 前後になる。腹鰭菜臀鰭・尾鰭下葉などが黄色い。臀鰭基底は短い。背鰭棘は9で、背鰭第2棘は糸状に伸びない。体高は高く体高は、体長の44-51%。[石垣島産 28cm SL・722g]
29cm SL 前後になる。腹鰭菜臀鰭・尾鰭下葉などが黄色い。臀鰭基底は短い。背鰭棘は9で、背鰭第2棘は糸状に伸びない。体高は高く体高は、体長の44-51%。[石垣島産 28cm SL・722g]
29cm SL 前後になる。腹鰭菜臀鰭・尾鰭下葉などが黄色い。臀鰭基底は短い。背鰭棘は9で、背鰭第2棘は糸状に伸びない。体高は高く体高は、体長の44-51%。[石垣島産 28cm SL・722g]
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目クロサギ科クロサギ属
外国名
Deep-bodied mojarra
学名
Gerres erythrourus (Bloch,1791)
漢字・学名由来

漢字 背高黒鷺 Sedakakurosagi
由来・語源 クロサギの仲間で体高があるため。
〈スズキ型族スズキ群クロサギ科クソサギ属 セツパリサギ(新稱) Gerres abbreviatus BLEEKER〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
セッパりサギの学名、Gerres abbreviatus Bleeker, 1850 が Gerres erythrourus になり、後に差別的和名最終勧告(2007)によって、セダカクロサギに和名が変更された。岩槻幸雄の命名だと考える。

クロサギの由来・語源
『紀州魚譜』(宇井縫蔵 1925)にクロイサキ(黒鶏魚)という記述があるとあり、これが変化したものか。『魚と貝の事典』
「黒」とは腹腔膜の色合いであり、「鷺」のように嘴(くちばし)が長い(伸びる)ためか。
由来・語源 紀伊での呼び名。三重県も含む紀州ではなく和歌山県のことだと思う。
想像ではあるが、「黒」とは腹腔膜の色合いであり、「鷺」のように嘴(くちばし)が長い(伸びる)ためか。
〈くろさぎ 紀伊〉。また安房(千葉県)ではGerres japonicus(ダイミョウサギ)を「くろさぎ」としているが本種の間違いかも。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)

Iwatsuki
岩槻幸雄。宮崎大学、魚類学者。クロダイ属、ヒゲダイ属など。
Bloch
Marcus Élieser Bloch(マルクス・エリエゼル・ブロッホ 1723-1799 ドイツ)。医師、博物学者。ヨハン・ゴットロープ・テアエヌス・シュナイダー(Johann Gottlob Theaenus Schneider)とともに『110の画像付分類魚類学』を刊行。
地方名・市場名
アカバニーコーフ
参考『日本の海水魚』(岡村収、尼岡邦夫編・監修 山と渓谷社) 場所沖縄 
セッパリサギ
備考旧名。 場所旧和名 

概要

生息域

海水・汽水魚。川の河口域から沿岸の砂泥地。
琉球列島。東京湾、山口県日本海沿岸でも見つかっているが非常に希。
海南島、フィリピン諸島、インドネシア、アンダマン海、タイランド湾、オーストラリア北岸、ミクロネシア。

生態

硬い咽頭コツを持っていて、雑食性で環形動物、小型甲殻類、藻類、貝類などを食べている。

咽頭歯 クロサギ科なので口が伸びるものの、口の前方には歯らしいものはなく、奥に強大な咽頭歯がある。これで貝殻をつぶして中身を食べている。
胃袋・腸の中身 タマガイ科のアラゴマフダマ(右)と左は不明。粉々になっていたので軟体を食べたと推測している。

基本情報

奄美大島以南では普通に見られる。競り場などにも単体で並んでいた。
クロサギ科では大型で、産地でも評価が高い。
珍魚度 本州などでも見つかっているが、奄美大島以南でなければ見つけることは至難。入手には旅費も粘り強さも要す。

水産基本情報

市場での評価/主に琉球列島で競りにかかる。あまり高値はつかない。
漁法/
産地/沖縄県

選び方・食べ方・その他

選び方

銀色がまぶしいくらいのもの。触って張りのあるもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は沖縄でも冬から初夏にかけてだと思われる。
鱗は柔らかく取りやすい。タチウオのグアニンのような色素の粒子がある。皮は厚みがあって強い。
血合いのきれいな白身で熱を通しても硬く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

セダカクロサギの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(フライ)、ソテー(ムニエル)
セダカクロサギの刺身 水洗いして三枚に下ろして皮を引くと血合いがとても美しい。身が白濁しているのは脂が混在しているためである。クロサギ科の中でこれほどきれいな身色をしているのは体高のある種だけだ。
身自体にうま味があり、脂がのっているので舌の上で微かにトロッとする。味のダレがない。非常においしい。

セダカクロサギの焼霜造り 皮の色合いはヘダイなどに近い。味もよく似ていると思う。水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮目を上にしてまな板にのせてあぶる。氷水に落として粗熱をとり、水分をよくきる。皮に豊かなうま味があり、薄い脂の層が皮下にある。
セダカクロサギの兜焼き この黒銀色の、魚の皮の風味は押し並べていいと思っている。ここでは兜を梨子割りにして塩を振る。1時間くらい寝かせて水分を拭き取り、じっくり焼き上げる。頭部には意外に多くの身(筋肉)がある。筋肉に甘みがあり、皮の香りが高い。
セダカクロサギのあら煮 腹部と頭部を煮つけにする。水洗いしてでたアラは適当に切り、湯通しする。水分をよくきり、酒・みりん・醤油・水を沸騰させた中であっさりと煮る。煮ても硬くならず柔らかい。身自体に甘みがあり、皮や骨周りに味がある。
セダカクロサギのフライ 水洗いして三枚に下ろす。腹骨血合い骨を取り、皮を引く。皮はついたままでもいい。切り身にして塩コショウし、小麦粉をまぶし溶き卵を潜らせて、パン粉をつける。これを高温の油で短時間で揚げる。本種の身(筋肉)の味わいはくせがなく、微かに甘味があることだが、香ばしい中にもこのいい部分が生きている。
セダカクロサギのムニエル 水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨をとり、水分をよくきる。切り身にして塩コショウする。小麦粉をまぶして多めの油でじっくり香ばしくソテーする。仕上げにバターの風味を加える。パセリなどはお好みで。ソテーしても硬くならず、皮周辺に味がある。身は嫌みがなく、実に味わい深い。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど