コケノコギリ


40cm SL前後になる。体高があり、厚みもある。ほおの部分に鱗がある。鱗は大きく網目状に見える。胸鰭の内側に鱗がない。[体長45cm, 重さ3.7kg]

珍魚度・珍しさ★★★★
めったに出合えない
魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚類綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエフキダイ科ヨコシマクロダイ亜科コケノコギリ属
外国名
Mozambique large-eye bream
学名
Wattsia mossambica (Smith, 1957)  
漢字・学名由来

漢字 鱗鋸、鱗鋸鯛 Kokenokogiri
由来・語源 こけ(鱗)が大きく目立つのが特徴で、命名当時はコギリダイ属であったため。
〈コケノコギリ Gnathodentex mossambicus SMITH〉。でノコギリダイ属であった。『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25)
mossambica 小種名は、モザンビーク Baixo do Pinda(Pinda reef)でタイプ標本がとれたことによる。『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(中坊徹次・平嶋義宏 東海大学出版部 2015)

地方名・市場名
アンラーシルイュー スウュウー
参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 場所沖縄本島 

概要

生息域

海水魚。100mよりも浅い岩礁域。
奄美大島、琉球列島。
インド-西太平洋、マーシャル諸島。

生態

基本情報

鹿児島県島嶼部以南のやや深場に生息している。この地域が北限であり、非常に珍しく水揚げ量も少なめ。知名度は高くないが水揚げがあると総て高値となる。
珍魚度 明らかに珍魚である。ただ鹿児島県や沖縄県で探せば、待つかも知れないが手に入る。

水産基本情報

市場での評価 入荷は希、やや高価。
漁法 釣り
産地 沖縄県、鹿児島県

選び方・食べ方・その他

選び方

全身が金色かがって見えるもの(退色していないもの)。触って張りのあるもの。目が澄んでいるもの。

味わい

旬は不明。
大きいほど味がいい。白身の最高峰のひとつかも。
鱗は硬いが取りやすい。皮は厚い。骨はやや硬め。
身は真っ白で透明感もある。身割れしにくい。熱を通しても身が締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

コケノコギリの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、皮霜造り)、蒸す、煮る(鍋、煮つけ)、ソテー(ムニエル、バター焼き、オリーブオイル焼き、ポワレ)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き)
コケノコギリの皮霜造り メイチダイやシロダイに近い上品で淡泊な味わい。単に刺身にするのではなく、皮目に湯をかけてみた。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨と血合い骨を取り、水分をよく拭き取る。皮目に湯をかけて氷水に落として粗熱を取る。水分をよくきり、刺身状に切る。淡泊な中にほんのり甘味、うま味がある身、皮の食感と皮直下の味わいがあいまってとても味わい深い。

コケノコギリの刺身 とてもメイチダイ属の魚に似た身質でほとんど血合いが感じられない。くせのない味わいで、刺身は絶品である。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引き刺身にする。今回のものは秋の個体であったが、フエフキダイ科は春から初夏に脂がのる、時季をかえて食べてみたい。
コケノコギリの煮つけ 非常に大型であるのでかまだけを煮つけてみた。水洗いしてかまを切り取り、湯通しする。冷水に落として残った鱗とぬめりを流して水分をよくきる。酒・砂糖・醤油でこってりと甘辛く煮る。味つけはお好みで。皮目の味わいが深く、身離れのいい白身がまた美味である。
コケノコギリの鍋 刺身であまった部分や中骨を使って鍋にする。中骨などは食べやすい大きさに切る。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきっておく。昆布だしに酒・塩で味つけした中で煮ながら食べる。少し淡泊なのでだしを使ってもいい。非常に上品な中に味がある。
コケノコギリのみそ汁 あらを集めて置く。食べやすい大きさに切り、湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。だしがたっぷり出て、非常に味わい深い汁になる。ご飯に合う。
コケノコギリのソテー 水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。塩コショウして少し寝かせ、出て来た水分を拭き取り、ニンニク風味をつけた多めの油で皮目からじっくり弱火でソテーする。皮側が香ばしく上がったら返し、火を強くして油を皮にかけながら仕上げる。切り身を取り出し残ったフライパンにシェリー酒を加えてデグラッセ、ソースに。
コケノコギリの酒蒸 水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。振り塩をして少し置き、表面に出て来た水分をよく拭き取る。これを戻した昆布の上にのせて酒を振り、10分ほど蒸す。蒸気を受けて身がふっくらとふくらみ、非常に柔らかい。皮と身に味がある。
コケノコギリの塩焼き 水洗いして切り身にして振り塩をする。1時間以上置き、じっくりと焼き上げる。表面から脂がにじみ出ていい香りが立つ。上品な白身で嫌みがない。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど