ウメイロ

ウメイロの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長40cmを超える。下顎は上顎よりも前に出て、頭部は隆起して背鰭、尻鰭は伸びない。体は紫がかった青で背鰭下に黄金色、青みを帯びた黄色い部分がある。尾鰭は2叉し、黄色いか暗色。[尾鰭が黄色い個体]
体長40cmを超える。下顎は上顎よりも前に出て、頭部は隆起して背鰭、尻鰭は伸びない。体は紫がかった青で背鰭下に黄金色、青みを帯びた黄色い部分がある。尾鰭は2叉し、黄色いか暗色。写真は屋久島ではウメイロとは別種とされている個体。[尾鰭が暗色の個体]
体長40cmを超える。下顎は上顎よりも前に出て、頭部は隆起して背鰭、尻鰭は伸びない。体は紫がかった青で背鰭下に黄金色、青みを帯びた黄色い部分がある。尾鰭は2叉し、黄色いか暗色。写真は屋久島ではウメイロとは別種とされている個体。[長崎県上対馬産 尾鰭が暗色の個体 32.5cmSL・0.8155kg]
体長40cmを超える。下顎は上顎よりも前に出て、頭部は隆起して背鰭、尻鰭は伸びない。体は紫がかった青で背鰭下に黄金色、青みを帯びた黄色い部分がある。尾鰭は2叉し、黄色いか暗色。[尾鰭が黄色い個体]

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珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目フエダイ科アオダイ属
外国名
Yellowtail blue snapper 黃背若梅鯛、 黃雞仔、包公雞、貢仔、黃腳佳仔、黃加甲(臺東)、烏尾冬(澎湖)、青雞仔(澎湖諸島)
学名
Paracaesio xanthura (Bleeker, 1869)
漢字・学名由来

漢字 梅色 Umeiro
由来・語源 体色が熟した梅の実の色に似ているから。和歌山県串本での呼び名。田中茂穂は〈ウメイロ又はウグイス〉をどちらにするか、悩んだようだ。古くはアオダイ属ではなくウメイロ属だった。

Bleeker
Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。岩礁域。
伊豆諸島、小笠原諸島、神奈川県三崎〜宮崎県、九州南岸の太平洋沿岸、[京都府京丹後市湊]、山口県萩、[島根県益田]、長崎県[上対馬]・五島列島、[熊本県牛深]、屋久島、琉球列島、南大東島。
朝鮮半島南岸、台湾、南沙諸島、インド-太平洋(オーストラリア北西岸。北岸、ニューギニア島南岸、ハワイ諸島、ツアモツ諸島以東を除く)。

生態

基本情報

東京都伊豆諸島、紀伊半島、高知県、鹿児島県以南で水揚げがある。東京の流通のプロたちの間では「沖たかべ」としてよく知られている。全長50cm前後になり、歩留まりがよく味が非常にいい。ある意味だれが食べてもおいしいという魚である。2023年現在、安定的な高級魚である。
東京都や関東、高知県、鹿児島県、沖縄県では決して珍しい魚ではないが、全国的に知られているかというとそんなことはない。ある意味、まだまだマイナーな魚かも知れない。
基本的に漁獲量の少ない魚ではあるが、近年僅かながら水揚げ量が増えていると思われる。
産地並びに関東では人気が高く、白身の高級魚のひとつだ。
珍魚度 珍魚ではないが、産地が限られているので探さないと手に入らない。

水産基本情報

市場での評価 入荷はあまり多くない。関東では夏から秋にかけての魚。高値となる。
漁法 延縄、釣り
産地 東京都(諸島部)、鹿児島県、和歌山県

選び方・食べ方・その他

選び方

背中の梅色の帯が鮮やかなこと。張りがあり、目が澄んで、鰓の色がきれいな赤であること。

味わい

旬は春〜夏だと思うが年間を通してあまり味が落ちない
鱗は小さく薄く取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身だが白濁しやすい。火を通しても強く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ウメイロの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、皮霜造り、焼霜造り、カルパッチョ、セビチェ)、焼く(塩焼き、ロースト)、煮る(煮つけ、まーす煮)、汁(潮汁、みそ汁)、揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(バター焼き)
ウメイロの刺身 三枚に下ろして皮を引いて透明感のある白身で脂がのっていると少し白濁して白い。血合いが弱く見た目にも美しい。見た目にも上品であるが、食べても見事である。上品な甘味があって、淡泊な中にうま味が感じられる。非常に美味。飽きの来ない味である。

ウメイロの皮霜造り 小振りのものは三枚に下ろして血合い骨を抜く。皮目に湯をかけて氷水に落とす(冷蔵庫で急冷してもいい)。よく水分をきり、冷蔵庫などで皮の周辺を落ち着かせる。これを刺身に切ったもの。大振りの個体は皮が硬いので小さなものでしかできない。皮目の甘味やうま味が端的に楽しめる。
ウメイロの焼霜造り やはり大きい方がうまいが、小さいモノは皮が柔らかいので焼霜、皮霜にできる。三枚に下ろして血合い骨を抜き皮目をあぶり、氷水に落としてあら熱を取り、水分をよくきる。これを冷蔵庫などで皮目を落ち着かせて切りつける。刺身でも十分うまいが、あぶった皮の香ばしさと甘味、こくがプラスされる。
ウメイロの腹も塩焼 料理法を選ばず、どこの部位でもみなうまいのだが、焼くとなると胸鰭から内臓を抱き込む部分がおいしい。下ろす時点で焼くために切り取って置く。水洗いして切り取り振り塩をする。1時間以上寝かせてじっくり焼き上げる。皮目の香ばしさ、身のうま味の豊かさとも最上級の味である。
ウメイロの塩焼き 小振りのウメイロを水洗いして丸のまま、大型は切り身にして水分をよく拭き取る。塩をして1時間以上置き、じっくりと焼き上げる。焼いても硬く締まらず、内はジューシーに仕上げる。皮目の風味もとても好ましい。
ウメイロのロースト 切り身に塩コショウし、オリーブオイル、白ワインでマリネする。ローズマリー、セージなどをのせてじっくりローストする。皮目がこんがり仕上がったら出来上がり。仕上げに再度オリーブオイルをかけて食べる。パンなどとの相性がよく、白ワインに合う。
ウメイロの煮つけ 上品な白身で皮目にもまったくクセがない。その上、旬の時期にはほどよく脂がのって煮つけても硬く締まらない。大振りのものの頭部を梨子割りにして、湯通しし、冷水に落とす。残った鱗やぬめりを取り、水分をよくきって水、みりん、酒、しょうゆであっさりと煮たもの。酒・塩だけでも、酒・砂糖・しょうゆの味つけでもうまい。
ウメイロのみそ汁 あらを湯に通して冷水に落とす。鱗や汚れ、ぬめりなどを取り、水分をよくきる。これを水(昆布だしでも)から煮出してみそをとく。上品な白身でいながらうま味の強いだしが出て、おいしいみそ汁に出来上がる。薬味やねぎでも小松菜などの青みでもいい。酒を加えるとなおおいしい。ご飯にも合う。
ウメイロの潮汁 頭部とあらを湯に通して冷水に落とす。鱗やぬめりを取り、よく水分をきる。これを昆布だしで煮だして、酒、塩で味つけする。酒は最初から入れて置いてもいい。実に味わい深いだしが出、あらについた皮も身もやたらにうまい。これだけで主役級の一品だ。
ウメイロのフライ 水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、適当に切り、塩胡椒する。小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせ、パン粉をつけて高温で短時間揚げる。中心部分は微かに生っぽさが残るように揚げたが、このあたりはお好みで。揚げるとふんわりして柔らかく豊潤。非常に美味。
ウメイロの竜田揚げ ウメイロの尾に近い部分やカマ下などを適宜に切る。水分をよく拭き取り、しょうゆ、みりん、にんにく、ガラムマサラを合わせたタレに30分以上漬け込んで、片栗粉をまぶしてじっくり揚げる。漬け込まないでそのまま唐揚げにしてもうまい。揚げると表面はかりっと香ばしく、内はジューシーに仕上がって夢中になれる味だ。
ウメイロのバター焼き 水洗いして三枚に下ろし適宜に切る。塩コショウして皮目から多目の油でじっくりとソテー。皮目が香ばしく焼き上がったら、一度油を捨ててバターを入れて香りづけする。仕上げにしょうゆをたらすととてもご飯に合う。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

伊豆七島などではオキアミエサのコマセ釣り

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

ウメノ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県二木島、和歌山県串本和深・白崎・田辺 
ウメイロ
備考標準和名。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、林市兵衛さん、文献、川東守昭さん・繭右さん 場所三重県志摩市波切、和歌山県串本、高知、鹿児島県屋久島 
ウグイス
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県串本 
イエズミ
参考文献 場所山口県萩 
ボウタ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都伊豆大島・八丈島 
ヒラアオ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都八丈島 
ボウタイメイロ ホウタイメイロ
参考文献 場所東京都小笠原父島 
ギンタ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都式根島 
スミヤキ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都神津島・八丈島 
アンチカムゾリ
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
シーヌクワー シーヌクヮー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)ほか 場所沖縄県南城市知念漁協・宮古・八重山 
アヤカリ
参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県田子 
マツ
参考文献 場所鹿児島県奄美大島 
キイホタ キイボタ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
オキタカベ
参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 場所東京都伊豆大島・神津島・三宅島・小笠原村、神奈川県三崎、和歌山県 
キホタ
備考屋久島に2タイプいて背部が黄色く、尾鰭も黄色いものをいう。 場所鹿児島屋久町安房・奄美大島 
ゲンバク
備考高知県の船が屋久島に来て漁をしていた。その内の一人が言い始めた呼び名だとのこと。背部の黄色みが弱く暗色で尾鰭に黄色みがないものの呼び名。 場所鹿児島屋久町安房〈川東守昭さん〉 
ヒワダイ
備考別名。 
ボウタイ
参考文献