サケの成長段階での呼び名
 沖取りのサケを「時知らず(ときしらず)」、「目近」秋に産卵のために接岸したものを定置網でとるものを「秋鮭(あきざけ)」、「秋味(あきあじ)」として区別する。
 すなわち「時知らず」は未成熟の個体、「秋鮭(秋味)」は成熟が進んだ個体という違いがある。
 秋に接岸してきたサケのなかにも未成熟のものがおり、単純にいいきれないやも知れないが、これを「秋児(けいじ)」と呼ぶ。
 値段は「鮭児」が突出して高く、キロ当たり数万円となることもある。次いで「時知らず」でキロ当たり2000円以上、安くて千円代前半。
 秋に入荷してくる「秋鮭」のなかでも成熟の段階の低いものを「目近(めじか)」、「銀毛(ぎんけ)」などと呼ぶ。これは脂があり味がいいので千円台前半から後半くらいの値段がつく。
 川の水を飲んだ、成熟度の進んだサケを「ぶな」、「ぶな毛」もしくは「きはだ」と呼ぶ。脂が抜けて味が悪いとされ、値段は千円を切ってしまう。
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参考/『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『鮭・鱒』(赤羽正春 法政大学出版局)
時知らず(時鮭 ときしらず・ときざけ)
サケの時期である秋ではなく春から夏にかけて沖取りしたもの。その秋にはロシアの河川で産卵する群をとったもの。未成熟なので脂がのっている。
 北洋漁業刺し網などでサケをとっていたときには、これも「時知らず」と呼んでいた。
「目近(めぢか・めじか)」
 秋に日本海側の河川にのぼる途中でオホーツク海でとれたもの。
 ともに成熟の進んでいないために脂がある。
鮭児(けいじ)
 夏から秋に接岸したサケのなかに混ざっているもの。本来は翌年に産卵する個体。未成熟のために脂がある。
 めったにとれないためにキロ当たり数万円となることもある。
「銀毛(ぎんけ)」
 産卵のために接岸するなかでも未成熟なもの。鮮魚で入荷してくるサケのなかではもっとも多い。
山毛欅毛(ぶなけ)、黄檗(きはだ)
 河川付近でとれるもの、河川にのぼったものを「ぶなけ」「ぶな」と呼ぶ。また地域によっては黄色みを帯びたものを「きはだ」。
 これは成熟したサケの体色が色づいたブナの葉に似ているため。もしくはブナの紅葉時期、実が収穫される時期がサケの遡上時期と重なるためと言われている。
 脂がなくまずいとされ、市場でも色づいたサケは安い。ただし、この時期のサケを尊ぶ地方もある。



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