カラフトマス

Scientific Name / Oncorhynchus gorbuscha (Walbaum, 1792)

代表的な呼び名マス

カラフトマスの形態写真

SL 50cm前後になる。脂鰭がありやや側へんし、細長い。背中に黒い斑点が散らばる。尾鰭には黒い縁取りがなく、黒い斑紋が散らばる。[39cm SL・892kg]
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SL 50cm前後になる。脂鰭がありやや側へんし、細長い。背中に黒い斑点が散らばる。尾鰭には黒い縁取りがなく、黒い斑紋が散らばる。[39cm SL・892kg]SL 50cm前後になる。脂鰭がありやや側へんし、細長い。背中に黒い斑点が散らばる。尾鰭には黒い縁取りがなく、黒い斑紋が散らばる。[35.5cm・585g]背中に黒い斑点が散らばる。には黒い縁取りがなく、黒い斑紋が散らばる。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★
      これは常識
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区真骨亜区正真骨下区原棘鰭上目サケ目サケ亜目サケ科サケ属

    外国名

    学名

    Oncorhynchus gorbuscha (Walbaum, 1792)

    漢字・学名由来

    漢字 樺太鱒 Karafutomasu
    由来・語源 『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1936、第二版1943)にカラフトマス(セッパリマス)。樺太でたくさんとれたからだと思う。田中茂穂はセッパリマスとしている。

    地方名・市場名

    ホンマス
    場所北海道函館市 参考荷 
    マス
    場所東京を始め日本各地 備考サケよりも安いという意味合いをもつ。 
    サクラマス
    場所岩手県久慈市 
    アオマス[青マス・青鱒]
    場所北海道、山形県鶴岡市由良漁港で サイズ / 時期若い個体。 
    カニマス カンマス セッパリマス ネコマス ラクダマス
    場所北海道東部 参考文献より。 

    生息域

    淡水→海水→淡水[サーモンタイプ]。
    回遊は日本海、東北太平洋側、北海道、オホーツク海沿岸。北太平洋全域、ベーリング海。
    遡上する河川はほぼ北海道でオホーツク海沿岸、根室海峡沿岸の河川に95%が遡上する。日本海側では北海道西岸北部の河川、太平洋側では三陸北部の河川で見られる。
    国内以外で遡上する河川は朝鮮半島東部、シベリアのレナ川まで、アメリカはカリフォルニア州サクラメント川からカナダのマッケンジー川まで。

    生態

    ■ 8月〜10月、河川を遡上する。河川の中・下流域、海で9月〜10月に1000粒〜1500粒を産卵。
    ■ 4月〜5月、川を下り、海に入る。
    ■ 最初は沿岸で暮らし、成長とともに沖合に出る。
    ■ 沖合でオキアミ類、イカなどを食べて、1年ほどで母川に向かう。雄は成熟すると背が張り出してくる。

    基本情報

    一般消費者が知っておくべき基本的な魚のひとつ。
    英名、ピンクサーモン、北海道では「あおます(青鱒)」と呼ばれる。北太平洋にいるサケ属ではもっとも小型で、もっとも資源量が多い。本種は国内ではオホーツク海、北海道東部太平洋沿岸が主要な漁場なので明治期まで国内ではあまり知られていなかった。明治になり北海道での漁業が盛んになり、北洋での近代的な漁が始まるとともにサケマス類(サケ、ベニザケ、カラフトマス、マスノスケなど)がまとまって市場流通を始める。本種はサケマス類の中でもっとも安かったために、すぐに庶民的な食用魚として人気をはくす。それまで「ます」は一般的にサクラマスのことだったものが、本種のことという認識が生まれ、流通上の「ます」として今に至っている。
    鮮魚は北海道での定置網の漁期である7〜9月に出回る。鮮魚は都内にはあまり流通してこない、もしくは加工原料として取引されているようだ。またサケ類を比較的好んで食べる新潟県や山形県などで人気が高い。卵巣である「マス子」も東北で流通する量がいちばん多い。
    多くが缶詰や塩蔵品である「塩ます」に加工された。サケ缶の大方の原材料は本種で、古くは輸出され、外貨獲得の一翼をになっていたことがある。
    山間部では昔、塩引きサケ、身欠きニシン、塩サバ、塩イワシなどが食べられていた。そこに明治期になり本種が加わって今日に至る。また都市部でも「塩ます」は庶民的な味覚として定着する。
    今現在は鮮魚での流通は少なく、多くが「塩ます」、「マス子」、缶詰などの加工品になっている。
    「塩ます」は今でも日本各地で食べられており、特に山間部で見かける機会が多い。
    珍魚度 至って在り来たりな食用魚だが、北海道、東北などでは鮮魚を見ることができるが、関東以西では加工品が中心となる。

    水産基本情報

    市場での評価 鮮魚は春から夏にややまとまって入荷してくる。値段は安い。塩マスは少ないながら見かけるもの。サケ類の塩蔵品としては安い。
    漁法 流し網(刺し網)、延縄
    主な産地 北海道、岩手県、宮城県、青森県

    選び方

    触って硬いもの。鰓が鮮やかに赤いもの。

    味わい

    春から夏に大量に漁獲され、基本的に夏の魚。
    若魚よりも大型魚の方が美味。桃色の身はとても美しく見栄えがする。
    鱗は細かく取りやすい。皮は厚く強い。骨は柔らかい。
    総て天然物なので生食は避けるべき。もしも生で食べたいなら一度氷らせてから食べること。

    栄養

    危険性など

    日本海裂頭条虫(サナダムシ)/扁形動物門条虫綱多節亜綱擬葉目裂頭条虫科。はっきりした症状はない模様。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    カラフトマスの料理・レシピ・食べ方/ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ)、焼く(塩焼き、みそ漬け、祐庵焼き)、汁(三平汁、石狩鍋)、煮る(みそ煮)
    カラフトマスのムニエル 単純に皮を引き、ムニエルにしてもいいが、皮付きの方がうまい。切身に塩コショウする。小麦粉をつけて多めの油で、皮の方から弱火でじっくりとソテーする。皮目がかりっとして食べたときえびせんを思わせるくらいになったら返して火を通し、最後にバターで風味づけする。

    カラフトマスのフライ 大型が手に入ったらフライやムニエル用に保存しておくといい。三枚に下ろして小骨を抜く。皮を引き切り身にして塩コショウしておく。この状態で冷凍すると便利。小麦粉をまぶして衣(小麦粉・卵・水)をからめ、パン粉をつけて揚げる。お弁当などに便利。
    塩マス(カラフトマスの塩蔵) 水洗いして強めの振り塩をして丹念にまぶす。これをビニールなどに入れて2日ほど寝かせる。寝かせることで塩が馴染む。水分をよくきり、焼き上げる。単に塩焼きにするよりも深みのある味わいになる。保存性も高まる。
    カラフトマスの塩焼き 切り身にして振り塩をする。1時間以上寝かせて、じっくり焼き上げる。7分通り火が通ったら清酒を塗りながら焼き上げる。単に塩焼きにしてもいい。また切身に振り塩をすると冷凍できる。焼いても硬く締まらず、サケの風味がありとてもおいしい。

    カラフトマスの白みそ漬け(西京漬け) 水洗いして三枚に下ろす。切り身にして軽く振り塩をする(この工程は必ずしも必要ではない)。1〜2日、白みそとみりんを合わせた地に漬け込んで焼き上げる。みそはあまりみそを完全に拭き取らないで焼き上げる。
    カラフトマスのみそ煮 切身にする。適当にぶつ切りにしてもいい。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよく切っておく。鍋に水・酒を合わせる。のれで切身を煮て身がふんわりしてきたらこしたみそ、実山椒を加える。砂糖やみりんで甘くするとご飯に合う。
    カラフトマスのみそ仕立て鍋 あらや切身をみそ仕立ての汁で煮ながら食べる。昆布だしにみそ・酒粕・みりんでつゆを作る。これを煮立たせて野菜、湯通ししてヌメリをとった切身やあらなどを煮ながら食べる。根菜類が合う。
    カラフトマスの潮汁 生の切身に振り塩をする。水分が出て来たら拭き取り、熱湯をかけるか、湯通しする。冷水に落としてぬめりなどを流す。水分をよくきり、刺し昆布をした(昆布だしでも)水で煮出す。仕上げに酒・塩で味つけする。郷土料理の塩三平でもある。
    カラフトマスのルイベ(刺身) 鮮度のいいものが手に入ったら、三枚に下ろし、小骨を抜き皮を引く。ラップに来るんで24時間マイナス20℃以下で冷凍する。ラップから出してペーパータオルなどにくるみ冷蔵庫で解凍。刺身にする。半解凍状態で食べてもうまい。
    鱒子のしょうゆ漬け(カラフトマスのイクラ) 生の鱒子は、手がつけられるぎりぎりの温度の湯の中でほぐす。流水などでていねいに洗う。ザルにペーパータオルをしき、鱒子を入れて冷蔵庫などにラップをしないで保存。水分をとる。これを生醤油、もしくは煮きりみりん、醤油を合わせたものに漬け込む。サケよりも卵粒は小さいが味わいは豊か。

    好んで食べる地域・名物料理

    塩ますをよく食べる 山梨県上野原町・甲府市、福井県大野市・勝山市など。

    加工品・名産品

    塩マスや鱒子、缶詰など日本の食文化のなかでも重要なものが多い。


    塩ます(塩蔵カラフトマス) 主に北海道東部で作られるカラフトマスの塩漬け。古くは北洋でとれたものを大量に加工していた。サケの塩蔵品よりも安いものの、味は非常にいい。
    近年では主に山形県、福島県、長野県、山梨県や岐阜県などの山間部で消費されている。山形県米沢などでは昔ながらの塩分濃度の「塩ます」が作られている。古くは塩分の供給という役割も負っていたと思われる。
    岐阜県下呂市小坂では正月の年取魚に高価な「塩鰤」を買えない家庭では「煮いか」とともに年取魚とした。『小坂の文化 四季と味』(小坂の文化「四季と味」編集委員会 2003)
    単に焼いて食べるだけではなく、三平汁や麹などを使ったすしなどにも使われる。

    ますの塩引き 新潟県村上市で作られているもの。サケで有名なところだが、カラフトマスもよく食べられているようだ。地元産のサケの塩引きは、普段食べるには高価。日々のおかずとしてはカラフトマスのものを食べているようだ。
    さけ缶(カラフトマスの水煮缶詰) 明治時代から大正期にかけて作られ始め、現在にいたる。当時は輸出用だった。今も昔も「鮭缶」の原材料の多くがカラフトマスを原材料としている。魚臭さが少なく、サンドイッチやチャンプルーなどにも使える。
    鱒子(カラフトマスの筋子) 夏になると生が、塩漬けは年間を通して売られている。ただし関東などには少なく東北に多い。サケと比べると卵粒が小さいものの味はあまり変わらない。東北では塩辛い筋子を、お握りやおかずに多用する。

    釣り情報

    ルアー、フライなどの対象魚。

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■ 総て天然。養殖は行われていない。
    ■ サケ属ではもっとも小型。
    ■ 北太平洋域での資源量はサケ属中最大を誇る。北洋サケマス漁の中心的なものだった。

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『サケ・マスのすべて 食材魚貝類百科』(井田齊、河野博、茂木正人 平凡社)、『サケの世界市場』(佐野雅昭 成山堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)
  • 主食材として「カラフトマス」を使用したレシピ一覧

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