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サケ目サケ科サケ属 ギンザケ Oncorhynchus kisutch (Walbaum)
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魚貝類の物知り度
★これを知っていたら学者 ★★これを知っていたら達人 ★★★これを知っていたら通 ★★★★これは常識 ★★★★★これ知ってなきゃハジ
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物知り度/★★★
■アメリカからの天然ものもあるが、チリで養殖され冷凍輸入されたものが多い。国産のものも養殖であり、こちらは値段からして市場では劣性。値段は安く安定している
刺身/フライ/照り焼き/塩焼き
英名/Coho salmon
ギンザケの頭部には不定形の斑紋がある。また尾ビレには斑紋がない






↓ギンザケの塩鮭。今ではサケよりも一般的?
 日本海北部、オホーツク海、ベーリング海。
 ギンザケは沿海州以北に棲息する。当然、日本の海域ではとれないものである。戦前に、そして1952年に再開された北洋でのサケマス沖取りによりサケ(白ザケ)とともにギンザケは我が国の食卓にもたらされてきた。それが200海里規制や資源管理型漁業によって北洋でのサケマスの漁獲高が減少してきて、今にいたっている。その減少期に始まったのがサケの放流事業やギンザケの養殖である。
 このギンザケの成長の早さに目をつけて養殖の研究が1960年前後から始まっていたという情報がある。そして日魯漁業などがアメリカから卵を輸入して本格的な養殖事業、採卵などを事業化したのが1971年のこと。そして1975年にはギンザケの人口採卵、また稚魚の確保に成功。この日魯からの卵の提供を受け、翌年には志津川、香川で養殖事業がスタートしたのだ。
 そのもっとも初期の段階から尽力し、また最初にギンザケの養殖を手がけたのが志津川の遠藤昭吾さんである。
以降、宮城県の特産品としてギンザケ養殖は花形的なものとなっていった。ところが1979年には同じく日魯漁業の手によって南米チリでのギンザケ養殖が始まろうとしていて、平成となって南米チリ産のギンザケが低価格で輸入されるようになった。この南米チリ産ギンザケ(通称「チリ銀」)の輸入のために国産の養殖ギンザケは大きな打撃を受け、今日まで低迷は続いている。
●以上、志津川漁協、ニチロに電話にて問い合わせしました。またニチロの「サーモンミュージアム」を参考にしました

 市場でも三陸産のギンザケの影は薄く寂しい状況にある。若い飲食店主などこの三陸産ギンザケを知らない人もいて、それが今の現状である。これは年間を通して冷凍、チルドとチリやノルウェー産のギンザケがなどがあるのに対して、三陸産は春から夏までに出回る季節的商品といった感が強い。また、今時の飲食店では値段的にも取り扱いが難しいのではないかと思われる。しかし今回の石巻からきたギンザケの味は抜群によくて季節的なものであってももっともっと売れてもいいだろう。
 ちなみに三陸では秋に養殖生け簀に入れられた稚魚を春から夏に出荷する。料理人や消費者もこの時期は「三陸産ギンザケの旬」と覚えていてもいいかも知れない。

■6月初旬に手に入れた三陸産ギンザケを寿司職人、そして市場関係者と試食してみた。同時にチリ産サーモントラウトを食べてみて比較。また寿司職人はチリ産ギンザケをときどき使っている。そしてみな一様に国産ギンザケの味の良さを確認することができた。脂、旨味のバランスがよくクセがほとんどない。またフライや照り焼きなどにしても美味。
 さて、鮮魚としてのギンザケは流通量からすると僅かである。多くは冷凍、そして塩鮭に加工されている。そして塩鮭に関しては一般的にサケよりも脂があることから好まれているのである。だからスーパー、魚屋などにおいての塩鮭はギンザケが原料であることが多い。当然、コンビニなどでの「鮭お握り」の多くがギンザケであると言っても過言ではない。

寿司に関しては寿司図鑑へ!
●写真のものは宮城県産
セブンイレブンで見つけた「しゃけ」。これで120円ほど。たぶん多くの人がサケを求めているつもりでギンザケを買ってしまっている
セブンイレブンの表示には珍しく漢字ではあるが「銀鮭」の文字がある。でも多くが「塩鮭」と加工品の名を書いたり、「サケ類」とお曖昧な表示をしている。
銀子と言うのはギンザケのイクラ
 ちょっと言い方が変であるが「銀子」というのはギンザケの卵巣のこと。これをほぐすと、ギンザケのイクラとでも言えそうである。この市販のものが、食べてみると生臭くてうまくない。これはどうしたことだろうと思っていると生のものが入荷した。そこでさっそくしょうゆ漬けにしてみる。湯の中でほぐし、なんどか水洗いしてみりん、酒、しょうゆのタレに漬け込む。これがサケのものにはおよばないがいい味。期待しなかっただけに感激した。



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