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硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区刺鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ属

クロマグロ

魚貝の物知り度

★★ これは常識

学名 Thunus thynnus (Linnaeus)
外国名 英名/Aibacore,Bluefin tuna
同科同属 他のサバ科の魚へはここから!
漢字・由来 漢字/黒鮪、黒真黒
由来・語源/背が黒いから「真黒」、肉が赤黒いから、目が黒いから。そのマグロのまた黒いものだから。
地方名・市場名

市場ではホンマグロ(本まぐろ)、ホンマ(本ま)と呼ばれることが多い。
他にはイモシビ、ウシシビ、ウメゾメ、ウラマワリガツオ、オオシビ、オオタロ、オオマグロ、カタマ、カンバ、クロ、クロシビ、ゴトウ、ゴトウシビ、ゴンタ、ゴンダ、サンダ、シビ、シビツ、シビツユ、セナガ、デンボ、デンボク、トウツケ、トヨマ、ニンダ、ハツ、ホンシビ、マゴロ、ムツ、ヤツ、ヨカゴ、ヨツ、ヨツワリ。
小さいものをカキノタネ、コシビ、コチウ、コビン、コメジ、シビコ、シンマエ、マメジ、メジ、メジカ、メジカッコ、メジマグロ、ヨコ、ヨコワ。

形態 体長3メートル、400キロ前後になる。前後になる。紡錘形。胸鰭(むなびれ)が短い。第二背鰭、尻鰭も短い。
生息域 海水魚。日本近海。太平洋北部、大西洋暖海域。全世界の温帯域。
生態 産卵は夏。
沖縄、西南諸島、台湾東方で5月~7月。
日本海でも7月~8月に山陰、秋田沖などで小規模な産卵が行われる。
1歳、2歳では日本近海を回遊するとともに、一部はアメリカ海域まで移動する。
1歳で56センチ、体重4キロ、3歳で108センチ、26キロ、10歳で191センチ、130キロになる。
寿命は20年以上。
肉食魚でイワシ類、カツオやイカ類などをエサとする。
一般的評価 50キロ以上、生のものはまず買えないもの。
30キロ以下のものは本マグロという概念はなく、比較的手頃。
小売店の本マグロはこの小型、もしくは冷凍である可能性が高い。
水産基本情報 市場での評価/国産ものの漁獲には若魚なども含まれるが、年間をとおして入荷してくる。冷凍、生での入荷があり、冷凍といえども高い。生は非常に高く、キロあたり1万円以上することも普通。
若魚(めじまぐろ)も年間を通して入荷してくるが、こちらは手頃な値段である。
漁法/延縄(釣り)、巻き網
主な産地/長崎県、島根県、青森県、北海道、静岡県
統計から/クロマグロは国内で1万5000トンあまりを漁獲、輸入と合わせて4万トン。輸入ものの方が多い。クロマグロのマグロ全体の比率は8パーセントほどだが、ここには幼魚、若魚が含まれており、一般に本マグロといわれるサイズを意味するものではない。
養殖/近畿大学で完全養殖(採卵して稚魚を確保、出荷まで育てる)が成功してますます養殖ものが増えていきそう。大西洋岸、地中海、東南アジア、沖縄、西南諸島など、海外国内など産地は増えるばかり。
雑学 ■出世魚/
幼魚をヨコワ、20キロくらいまでをメジ、ゴンタ、20キロ~30キロくらいまでを中坊、小マグロ。
『本朝食鑑』(人見必大元禄8年・1695年)に二、三尺を〝目鹿〟、四、五尺を〝真黒〟、七、八尺以上を〝鮪(しび)〟と呼ぶ。
江戸時代後期には「めじか」、「まぐろ」、「しび(はつ)」というのが定着。
■クロマグロ資源の問題/大西洋のクロマグロ資源の急速な低下が、漁獲量を減らす、輸出の禁止などを含めて早急の処置が必要とされている。マグロ類全般に乱獲問題が深刻ともいえそう。
■トロのとれるマグロ/一般にトロのとれるのはメバチマグロ、クロマグロ、ミナミマグロの3種。厳密にいうとクロマグロとミナミマグロだけという人もいる。また大トロがとれるのはクロマグロとミナミマグロだけ。
■古くは「鮪」と書いて「しび」と読ませた/古事記に平群の臣 志毘(しび)として登場。当時は人名に動物の名をつけることが多かった。『出雲の風土記』に島根半島東部で「しび」がとれたことが記されている。
■マグロは江戸時代後期から/「まぐろ」と呼ばれるようになったのは江戸時代後期。
■天保三年(1832年)の春、マグロの大漁があり、当時日本橋にあった魚河岸にあふれかえった。非常に安値となり、『南総里見八犬伝』の作者滝沢馬琴の日記に、三尺のマグロが二百文、滝沢家では二尺あまりのマグロの片身を八十文で買っている。かけそば十六文で検討をつけると面白い。
■トロの値段が高くなったのは戦後のこと。それまではマグロのアラでしかなかったということも言われる。
選び方 鮮度は体表の色合い、目が澄んでいるか、鰓などを見る。
脂ののり具合は、大型のものはプロにしかわからない。
小型は表面をさわってぬめりを感じるもの、あまり硬くないもの。
味わい・栄養 味の評価/★★★★★=究極の美味
旬は冬。
大型のものと小型のものがある。
大型は赤身、中トロ、大トロなどと脂の強さで呼び分ける。



赤身は中心のいちばんたくさんとれる部分で、酸味があり、マグロ本来の旨みが感じられる。
中トロは赤身の味わいに脂の甘み、まったり感が加わってくる。
大トロは甘みが強く、これは脂がもたらすもの。
脂のうまみを食べているといっていい。
クロマグロは中トロ、大トロがもてはやされるが、これはさばいた全体の15パーセント前後しかなく(養殖は別)、ましてや大トロはその5分の一前後となる。

小型10キロ以内のものは比較的手軽に買える。
スーパーや魚屋さんなどにも並んでいる。
寒い時期は脂がのっており、夏でもあまり味が落ちない。
旬には全体にほどよく脂が回り、赤身でいながら脂の旨みも一緒に味わえる。
非常においしい。

基本/今でもマグロの赤身を「づけ」と呼ぶことがある。静岡県では「べっこう」。これは古くはマグロは赤身がうまいとされ、保存のために醤油につけたことからくる。今でもマグロの漬けを作ることは珍しくない。

栄養/脂質が高いがここにはDHA、EPAが多く、成人病など防ぎます。鉄分、カルシウムが豊富。ビタミン類も豊富です。

調理法 刺身、づけ、鍋もの(ねぎま)、塩焼き、コンフィ(オイル漬け)、ステーキ、血合いの唐揚げ
食べ方 刺身は味わいの部分で述べた。
「づけ」はしょうゆ、みりん、酒などの地に生のまま(霜降りにすることもある)、漬け込んだもの。
なかなか漬け込む時間などの目安が難しいが美味。
中骨から書き落とした身はネギトロにしてうまい。
頭部に隠れた部分を「八の身」というが、ここも脂があって美味だ。
クロマグロ料理でおすすめなのが「ねぎま鍋(葱鮪鍋)。
カツオ節だしにみりん、酒、しょうゆの味つけ。
クロマグロの筋の多い部分、尾の部分、贅沢に大トロ、中トロでも一口大やや大きめに切る。
白ネギ(下仁田葱など)を3、4センチに切り、これが材料。
煮加減はお好みで中が生でも、完全に火を通しても、また煮染めてしまってもうまい。
また砂糖を加えて、甘辛くするとご飯に合う。



カマや鰓蓋の後方や頬肉などは塩コショウして焼くと非常にうまい。
若いヨコワ、脂の少ない部分などは低温の油でゆっくり熱を通す、コンフィにするとうまい。
また頬肉のステーキは絶品。
血合い肉はときに捨てられてしまうものだが、竜田揚げやニンニク風味をきかせた佃煮にするとうまい。

すしネタとしても重要。大小、中トロ、大トロ、部分部分で味わいが違う。
すしに関しては『寿司図鑑』へ
好んで食べる地域 日本全国。
稚魚、小さなものを新前(しんまえ)、新子(しんこ)といい高知県、鹿児島県などで好まれている。
加工品・名産品
釣り 山口県などでは生き餌での乗り合いが出ている。
相模湾では夏から秋にかけてルアー釣り、疑似餌を使ったカッタクリ、サビキ釣りなどが盛ん。
参考文献 『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『魚河岸マグロ経済学』(上田武司 集英社新書)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店)




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