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顎口上綱硬骨魚綱新鰭区真骨亜区ニシン・骨鰾下区ニシン上目ニシン目カタクチイワシ科カタクチイワシ属

カタクチイワシ

魚貝の物知り度

★★ これは常識

学名 Engraulis japonicus (Houttuyn)
外国名 英語/Japanese anchovy, Half mouth sardine
同科同属 その他のニシン目の魚へはここから!
漢字・由来 漢字/「片口鰯」。
由来/「カタクチイワシ」は関東、和歌山、北陸などでいう言葉。上顎が長いが動かない。口を開けると下あごだけが垂れ下がり目立つため。
地方名・市場名

別名「セグロイワシ」、「ヒシコイワシ」。
「アオイワシ」、「アオダレ」、「アタマアカ」、「アマゴ」、「イシコイワシ」、「エタリイワシ」、「エタレ」、「エダレ」、「オオカミイワシ」、「オオカメイワシ」、「カナヤマ」、「ガライワシ」、「カワキ」、「カワナシドブ」、「カンイワシ」、「クロダレ」、「コイワシ」、「コシナガ」、「コマイワシ」、「ゴマメ」、「シコ」、「シコイワシ」、「シコロ」、「シシコ」、「シラサ」、「スイビロ」、「ズイビロ」、「スウゲンイワシ」、「スズロ」、「ズブロ」、「セグロ」、「セグロイワシ」、「ゾンカ」、「ゾンガ」、「タルクチイワシ」、「タレクチイワシ」、「タレ」、「タレッソ」、「ツブロ」、「ドウコ」、「ドジョイワシ」、「ドロイワシ」、「ドロボ」、「ハレカン」、「ハレガンイワシ」、「ヒラレ」、「ブトイワシ」、「ホウタレ」、「ボウワレイワシ」、「ホシコ」、「ホタレイワシ」、「ホホダレ」、「マイワシ」、「マル」、「マルユワシ」、「モコ」、「ヨゴウ」。
稚魚、小さく黒い色素のまだないものを、「シラス」、「シロゴ」、「チリメン」。
やや大きくなったものを「カエリ」、「カエリゴ」、「カヘリゴ」。

形態 体長10センチ前後になる。紡錘形で細長い。背が黒く腹が銀白色。吻が前に出て、上顎が長い、上顎は動かず、下あごのみ動く。下あごは薄く、大きく垂れ下がる。
生息域 海水魚。日本全域の沿岸。朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン。
マイワシよりも南方系であり、より沿岸性が強い。
生態 産卵は春と秋。暖かい地域では年間をとおして産卵する。北に棲息するものは春から秋にかけて。
沿岸性が強い。
抱卵数は2000~60000万粒。
寿命は2年ほど。
動植物プランクトンを食べる。
一般的評価 意外にスーパーなどでは見かけない。
むしろ加工品として出回っている。
煮干し、みりん干し、しらす、ちりめんと、日常親しみ深い加工品の材料。
何気なく食べてしまっている、そんな魚である。
鮮魚としても瀬戸内海などでは盛んに食べられる。
水産基本情報 水産物としての重要度/★★★★★非常に重要な水産物
市場での評価/鮮魚はとても安い。年間をとおして入荷があるが量は少ない。
多くは干物、煮干しなど加工品になる。
稚魚は「しらすぼし」、「ちりめん」、「釜揚げ」など加工品として出回ることが多い。生食用として鮮魚としても出回っている。稚魚の値段は高値。
漁法/巻き網、船曳網、棒受け網漁、定置網、すくい網漁
産地(漁獲量の多い順)/千葉県、茨城県、長崎県、三重県
年間30万トンから50万トン。
しらす産地(漁獲量の多い順)/静岡県、兵庫県、愛知県、愛媛県、大阪府
年間6万トンあまり
食用だけではなくカツオ漁のエサとしても重要。
雑学 ■俗言に「小いわしを七度洗えば鯛の味」というのがある。
■煮干し中もっとも高価なもの。
■イワシ3種/マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシをイワシという。またイワシ3種(イワシ三種)という言い方がなされる。
選び方 身が硬くしっかりしたもの。古くなると目が赤くなり、腹が割れてくる。
味わい・栄養 味の評価/★★★★=非常に美味
旬は味のためではなくたぶん鮮度保持などの問題から冬。
小魚で旨みが強い。
輸送に弱く、鮮度が落ちやすい。
調理法 刺身、酢のもの(酢漬け、胡麻漬け、なます)、天ぷら(唐揚げ)、塩焼き(干物)、煮つけ、塩漬け、オイルサーディン他
食べ方 鮮度さえよければ刺身が最高だ。下ろすのは手を使ってやるのだが、思った以上に簡単。下ろしたものを氷の入った塩水で洗うと身がしまり、より味がよくなる。
ショウガ醤油でもいいし、からし酢みそで食べてもうまい。


「小鰯(こいわし)も七度洗えば鯛の味」なんていうが、別にマダイと比べる必要はない。カタクチイワシの刺身はhんとうにうまい

これを酢の物にしてもいい。また大根などとなますにもなる。
九十九里(千葉県)などで作られるのが「胡麻漬け(ごまづけ)」。
塩をして、胡麻と甘酢に漬け込む。これなど家庭でも簡単にできて美味。


胡麻漬け。三枚に下ろして(小さいものは頭とはらわたを除いただけでいい)振り塩。少し置いて甘酢に、胡麻とともに漬け込む。簡単だしうまいしという千葉県九十九里地方の郷土料理

干物(丸干し)というのもうまい。
当然塩焼きにしても美味。
石川県金沢周辺には「塩いり」という郷土料理がある。
カタクチイワシなどを塩ゆで、水分をから煎りして飛ばし、酢と大根おろし、醤油で食べる。


塩炒り。塩辛い熱湯でゆでて、水分を一度捨て、から煎りしてなお水分を飛ばす。これを酢と大根おろし、しょうゆなどで食べる。石川県金沢周辺の郷土料理

梅干しと煮る、ショウガ風味で煮ても美味。
頭とはらわたをとり、天ぷら、唐揚げも美味。
塩漬けにしてオリーブオイルに漬け込むと自家製アンチョビーとなる。
また立て塩に漬け、オイルの中でゆっくり火をとおしたものが、オイルサーヂィン。これも美味。保存性も高いので自家製をお進めする。
稚魚であるしらすは神奈川県、静岡県、高知県などで盛んに生食する。
ちょっと苦みがあるものの、鮮度さえよければ生臭さもなく、旨味甘みがあってうまい。
また釜揚げしらす、しらす、ちりめんなど食卓にあって楽しい加工品が多い。
好んで食べる地域 ■コイワシ(小イワシ)の刺身/広島県ではカタクチイワシを小イワシといって刺身などにする。これが非常に美味。また広島県自体がカタクチイワシをよく食べる。
■生しらす/神奈川県相模湾沿岸、静岡県、高知県。
■いわしの塩炒り/石川県金沢周辺の郷土料理。塩水でゆでて、余分な水分を飛ばし、酢と大根おろし、しょうゆで食べる。
加工品・名産品 ■煮干し/香川県などで盛んに作られる。ゆでてから乾燥させたもの。年々価格が上がっている。現在では高級品。
■丸干し/九十九里の目刺し(目に竹串などを通したもの)が有名。
■ごまめ(五万米)・たづくり(田作り)/カタクチイワシの小さなもの(かえり)を素干しにしたもの。炒って甘辛い地に搦めて正月料理に使う。
しらす/稚魚をゆでて上げただけのものを「釜揚げ」、■軽く干したものを「しらす干し」。東日本で多い。
ちりめん/強く干したものを「ちりめん」。西日本に多い。
■たたみいわし(畳鰯)/稚魚を水洗いして、すに広げて紙状にして、干したもの。静岡県、神奈川県、茨城県などで作られる。
■ごま漬け/九十九里などで作られる「ごま漬け」。家庭でも簡単にできる。小型のものを選んで頭と尾を取り、塩をからめ水を抜き水洗い、これを甘酢とごまで漬ける。
■「みりん干し」、「さくら干し」、「末広干し」/千葉県などで作られている。砂糖しょうゆ、みりん・しょうゆの甘辛いタレに漬けて干したもの。
釣り 堤防(波止)から浮木を使ってアミエサで釣る。浮きづり、サビキ釣り。
参考文献 広辞苑、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(月賢二 柏書房」)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『日本近海産 魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)




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