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軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目ウグイスガイ科Atrina属

タイラギ(tairagi)

魚貝の物知り度

★★★ これは通人級

学名 Atrina (Servatrina) pectinata (Linnaeus,1767)
外国名 英明/Pen-shell, Fan-shell
同科同属 他のウグイスガイ目の貝へはここから!
リシケタイラギへ
漢字・由来 漢字/平貝、王に玉へんに兆
由来・語源/平らな貝だから。有明海周辺での呼び名「たいらぎ」から。各地で「たいら」+「貝」と呼ばれている。この「貝」を「げー」、「ぎ」、「ぎゃー」などと呼ぶことから。
地方名・市場名

関東の市場やすし屋ではタイラガイ。
インジラッポ、ウチワッカイ、エビスガイ、エベスガイ、エボウシガイ(烏帽子貝)、オオギガイ(扇貝)、オーギノカェ(扇の貝)、オノガイ(斧貝)、カイバシラ(貝柱)、キャーバシラ(貝柱)、カラシヌビースクー、カラスガイ(烏貝)、カラスゲ(烏貝)、クソガキ、クソサライガイ、クワカキ(鍬牡蠣)、コトリガイ、ジランボ、タアラギ、タイラガイ、タイラギャー、タイラゲ、タイラベ、タチガイ(立貝)、タチガエ、タッゲ、タテガイ(縦貝)、タテギャ、タテボラ、チャーラギ、テーラク、チェラゲェ、ババガキ、ババトリ、ババトリギャー、ヒイランボ、ヒョウゲ、ヒョロロ、ヒラッポ、ヒラブ、ヒランボ、ヒランボー、ヒランポ、フシガイ、フナワリケー、ヘエナ、ヘラボウ、ヘランバー、ホウチョウガイ、ポンカキ、マサカリカイ。

形態 35センチ前後になる。貝殻が三角形、薄く黒もしくは濃いオリーブ色。1990年代にタイラギは2種に分類しなおされていて、「貝殻の表面に放射状にはっきりした筋が入り、やや棘立つものをリシケタイラギ」、「表面が滑らかなものをタイラギ」とされている。
生息域 福島県、日本海中部以南から熱帯域まで棲息。
生態 雌雄異体。
産卵期は7月~8月。
1年で10センチ以上、6年で30センチ前後になる。
水深10メートル前後の砂泥地にとがった方を突き刺すように生息。
無数の糸を放出して泥に碇を打ってとどまっている。
大きい貝柱は、前後に2つある後方のものが中央に移動して大きくなったもの。とんがった部分に小さい前方にある貝柱がちゃんと残っている。
一般的評価 都市部のスーパーなどではまったく見かけないもの。
高級なもので、主にすし屋さんや飲食店で食べるもの。
水産基本情報 水産物としての重要度/★★ 一般的な水産物ではない
市場での評価/入荷は年間を通じてある。国産よりも韓国などからの輸入ものをよく見かける。1個あたり400円から600円と、貝柱を主に食べる二枚貝としては非常に高価。
漁法/潜水漁、タイラギこぎ漁
主な産地/韓国、国内では三河湾(愛知県)、岡山県、香川県などのものを見かける
雑学 ■一大産地であった有明海で激減。非常に深刻な状況となっている。
■有明海などでは養殖が試みられている。
■景行天皇(12代)の熊祖征伐のおり、八代海を渡るとき不知火(しらぬい)の明かりで無事上陸することができた。この不知火は八朔(旧暦の8月1日)の大潮のとき干潟で夜にタイラギ漁をとるかがり火のことである。
■とんがった方から泥に放出される糸を集めてイタリアのシシリー島ではショールや手袋、スカーフなどを作り、この糸をタレンチネという。『貝の博物誌』(波部忠重 保育社)にあるが意味不明。
選び方 活け(貝殻つき)、剥き貝ともに貝柱の太っているもの。貝柱に透明感のあるもの。
味わい・栄養 味の評価/★★★★=非常に美味
旬は春。
独特の苦みと風味がある。
旨みが濃厚で、甘みが感じられ、食感が強い。
好き嫌いの出る味わい。
調理法 刺身、天ぷら、煮つけ、バター焼き
食べ方 一般に貝柱とヒモ、足、小さい方の貝柱などを刺身にする。



食べられるのは貝柱だけではなく、ヒモ、小さい方の貝柱、足など。九州などでは貝柱以外を生食用として販売している。貝柱ほどに旨みはないがシコシコとした食感がいい。

単に刺身に切ってもいいが、表面をあぶると旨みと甘みが増す。


刺身は貝柱を利用する。ヒモ、前方の小さな貝柱を脇に加えている。貝柱は直火であぶり、ヒモは軽く湯通ししてある。

天ぷらも美味。
バターで焼くと、非常にうまいが贅沢である。
九州などでは貝柱以外のヒモや脚なども食べる。
煮て食べるものだが、これもいい。


すしネタとしては寿司図鑑へ!
好んで食べる地域
加工品・名産品 筑紫漬け/福岡県。タイラギの貝柱をみりん粕につけたもの。
釣り
参考文献 『貝の博物誌』(波部忠重 保育社)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)、『美食主義者の貝エピキュリアン』(奥谷喬司 日本出版社)




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