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市場での評価・取り扱われ方◆関東ではあまり流通しないが、関西では一般的な食用魚。とくに瀬戸内海沿岸でよく食べられ流通する。また関西では値がつく。値段は小さい雌(めす)よりも大きな雄(おす)が高い。 生息域◆沖縄を除く佐渡島、函館以南。朝鮮半島、シナ海。 生態◆ 内湾の浅い岩礁と砂地が入り交じるような場所に棲息。 産卵期は5月から7月くらいまで。 雌雄同体で雌性先熟のもの。小さいときは雌(めす)で大きくなると雄頭(おす)に性転換する。少ないながら雌雄異体。小さいときから雄(おす)である個体もある。 寒くなると砂にもぐって冬眠する。また夜になると砂の中で眠る。 大きさ◆30センチ前後になる 漁獲法◆底引き網/釣り 漢字◆「九線」、「求仙」。 由来◆神奈川県三浦地方の呼び名。雌(めす)に9つの縦縞(たてじま)があるため 呼び名・方言◆関東では単に「べら」。もしくは雄(おす)は「青べら(あおべら)」、雌(めす)は「赤べら(あかべら)」。 「お女郎(おじょろ)」、「ぎざみ」、「青ぎざみ(あおぎざみ 雄)」、「赤ぎざみ(あかぎざみ 雌)」、「くさび」。 ●キュウセンの呼び名・方言のページへ 釣り◆瀬戸内海などでは釣りの対象魚としても人気がある。釣り方は岩礁域にある砂地などへの投げ釣りか船釣りであり、餌は主に青イソメを使う。 写真の緑色に黒い筋のものはオスである。幼魚、メスは赤っぽく縦縞が黒い。キュウセンは雌性先熟であり、若いときにはメスであり、大きくなるとオスに性転換する。すなわち大きなものはほとんどがオスということになり、食用として高く出回るものも緑色のキュウセンであることになる。 ◆食べてみる◆ 関西など瀬戸内沿岸では「ぎざみ」と呼び、食味でも人気がある。これが東京を始めとする関東ではまったく人気がない。まずいと思い込んでいるだけで、いざ食べさせてみると万人向きの味わいであるのは誰もが得心する。 いちばんうまいのは素焼き。塩を振らないで焼いてしょうがじょうゆで食べる。焼けるそばから手でむしりながら野蛮に口に運ぶのがおすすめ。 刺身は透明感のある白身で夏には美味。また白身の上品な味わいは刺身にしてなかなか捨てがたい。 煮つけも定番的な料理。白身なのだが皮目に風味があり、身がふっくらしてうまい。 この煮つけをひと晩おき、改めて焼いたものを広島県などでは「はぶて焼き」と呼ぶ。煮つけのうまさに香ばしさを加えたもので、とてもうまい。 ●寿司に関しては寿司図鑑へ! 参考/『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『瀬戸内海の魚 ひょうごの酒』(神戸新聞出版センター)、『明石海峡 魚景色 鷲尾圭司) 同定/『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版)●本サイトの無断転載、使用を禁止する |
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